宮田登

宮田登（みやた のぼる）は、1936年10月14日に神奈川県横浜市で生まれ、2000年2月10日に63歳で亡くなった日本の民俗学者です。東京教育大学（現在の筑波大学）で学び、文学博士号を取得。筑波大学では教授として教鞭を執り、退官後は神奈川大学経済学部教授を務めました。また、国立歴史民俗博物館客員教授や文化庁文化財保護審議会専門委員など、数多くの要職を歴任し、日本の民俗学界を牽引しました。

宮田登の研究は多岐にわたりますが、特に「ミロク信仰」や「生き神信仰」といった日本の伝統的な宗教観を深く掘り下げた点が特徴です。これらの研究を通じて、日本人の信仰の根底にある思想や、それが社会構造に与えた影響を明らかにしました。また、都市における民俗現象を研究する「都市民俗学」の提唱者の一人としても知られています。彼は、都市生活における伝統文化の変容や、現代社会における民俗的な要素の再解釈を試みました。

宮田登は、研究者としてだけでなく、教育者としても大きな影響を与えました。筑波大学の助教授時代には、口頭試問で大塚英志の「発想がジャーナリスティックすぎる」と指摘し、大学院進学を断念させたという逸話も残っています。このエピソードは、宮田の学問に対する厳格な姿勢を示すものとして語り継がれています。

また、彼は推理小説の愛好家としても知られており、その論述には推理小説から得た着想が活かされていたと語っています。このことからも、彼の柔軟な思考と多角的な視点が伺えます。ドキュメンタリー監督の野田真吉らと「日本映像民俗学の会」を創設するなど、民俗学の研究を映像という新たな媒体で広める試みにも貢献しました。

宮田登は、数多くの著作を残しています。単著としては、『生き神信仰』、『ミロク信仰の研究』、『江戸のはやり神』、『妖怪の民俗学』などがあり、これらの著作は現在でも民俗学を学ぶ上で重要な文献として扱われています。また、網野善彦や佐々木宏幹などの著名な研究者との共著も多く、共同研究を通じて民俗学の知見を深めることに尽力しました。

宮田登の業績は、多くの賞によって称えられています。1971年には日本宗教学会賞を、1992年には毎日出版文化賞特別賞を受賞しました。そして、2000年には柳田賞を受賞し、その功績は学界内外で高く評価されています。没後、従四位と勲三等瑞宝章を追贈され、その生涯は日本の民俗学史に深く刻まれました。

宮田登は、その鋭い洞察力と柔軟な思考力で、民俗学という分野をより深く、より広く開拓しました。彼の研究は、現代社会においても、日本人の文化や信仰を理解する上で重要な指針となっています。彼の著作や思想は、今後も多くの研究者や学生に影響を与え続けるでしょう。

主な著書：

• - 『生き神信仰』
• - 『ミロク信仰の研究』
• - 『近世の流行神』
• - 『江戸のはやり神』
• - 『原初的思考　白のフォークロア』
• - 『民俗宗教論の課題』
• - 『日本の民俗学』
• - 『神の民俗誌』
• - 『新しい世界への祈り弥勒』
• - 『江戸歳時記』
• - 『都市民俗論の課題』
• - 『女の霊力と家の神』
• - 『妖怪の民俗学』
• - 『現代民俗論の課題』
• - 『ヒメの民俗学』
• - 『終末観の民俗学』
• - 『霊魂の民俗学』
• - 『江戸の小さな神々』
• - 『民俗学』
• - 『怖さはどこからくるのか』
• - 『はじめての民俗学　怖さはどこからくるのか』
• - 『日和見』
• - 『「心なおし」はなぜ流行る』
• - 『山と里の信仰史』
• - 『民俗文化史』
• - 『ケガレの民俗誌』
• - 『老人と子供の民俗学』
• - 『民俗学への招待』
• - 『民俗神道論』
• - 『歴史と民俗のあいだ』
• - 『正月とハレの日の民俗学』
• - 『日本の50年日本の200年　日本人と宗教』
• - 『冠婚葬祭』
• - 『都市とフォークロア』
• - 『都市空間の怪異』
• - 『宮田登 日本を語る』

共編著も多数あり、日本の民俗学の発展に大きく貢献しました。

関連人物:

• - 弥勒菩薩
• - 大塚英志
• - 網野善彦

宮田登は、その学術的な業績だけでなく、その人柄や思想も多くの人々に影響を与え、現代の民俗学研究に多大な貢献をしました。

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