宿毛線

宿毛線

宿毛線は、愛媛県宇和島市の宇和島駅から、同県城辺町（現在の愛南町）を経由し、高知県中村市（現在の四万十市）の中村駅に至る予定であった、日本鉄道建設公団による建設線の名称です。この路線は、改正鉄道敷設法別表第103号に記載された「愛媛県八幡浜ヨリ卯之町、宮野下、宇和島ヲ経テ高知県中村ニ至ル鉄道及宮野下ヨリ分岐シテ高知県中村ニ至ル鉄道」のうち、前者の「…宇和島ヲ経テ高知県中村ニ至ル鉄道」の一部にあたります。同号に記載された他の区間は、予讃線や予土線として開業しています。

概要

1964年に宿毛 - 中村間が工事線に昇格し、1974年に建設工事が開始されました。しかし、国鉄再建法の施行により工事は中断されました。その後、国鉄中村線（現在の土佐くろしお鉄道中村線）を継承した土佐くろしお鉄道が、宿毛線の建設区間も合わせて開業・運営する方針を打ち出し、建設が再開されました。そして、1997年に同鉄道宿毛線として宿毛 - 中村間が開業しました。

一方、宇和島 - 宿毛間は国鉄再建法の施行時点で未認可であり、工事も着手されていませんでした。そのため、引き受け手もなく未成線となりました。愛媛県は2011年に策定した「第五次愛媛県長期計画」において、宇和島 - 宿毛間について、予讃線の高縄半島短絡線構想とともに「採算性も考慮しながら長期的課題として検討を進めます」と表明しました。しかし、2019年に策定され、2021年に改訂された「第六次愛媛県長期計画『愛媛の未来づくりプラン』」では、宇和島 - 宿毛間を含む在来線の新線建設に関する具体的な言及は見られません。

路線データ

路線距離（営業キロ）：約78.4km（宇和島 - 中村間、うち未成区間は約54.8km）
軌間：1067mm
駅数：9駅（起終点駅含む。宇和島 - 中村間、未開業の宇和島 - 宿毛間の途中駅は不明のため含まず）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：なし（全線非電化）
閉塞方式：自動閉塞式

歴史

1964年（昭和39年）
4月22日：日本鉄道建設公団の調査線となる。
9月28日：日本鉄道建設公団の工事線となる。
1965年（昭和40年）4月11日：着工祝賀式が挙行される。
1972年（昭和47年）10月24日：工事実施計画が運輸大臣により認可される。
1973年（昭和48年）4月23日：起工式が挙行される。
1974年（昭和49年）
2月27日：日本鉄道建設公団宿毛線中村鉄道建設所が開所する。
2月：工事が開始される。
1980年（昭和55年）12月27日：日本国有鉄道経営再建促進特別措置法（国鉄再建法）が施行される。
1981年（昭和56年）10月：工事が中断される。
1986年（昭和61年）
5月1日：土佐くろしお鉄道が設立される。
12月18日：地方鉄道業免許が申請される。
1987年（昭和62年）
2月5日：地方鉄道業免許及び工事施行承認が申請される。
2月12日：工事施行が認可される。
3月12日：工事が再開される。
* 1997年（平成9年）10月1日：宿毛 - 中村間が土佐くろしお鉄道宿毛線として開業する。

その他

宇和島 - 宿毛間の未成区間には、宇和島自動車が路線バスを運行しています。

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