寄り倒し

寄り倒し（よりたおし）とは

寄り倒しは、相撲における決まり手の一つで、四つに組んだ状態から、自分の体を相手に密着させ、前または横に進みながら相手を土俵の外へと倒す技です。この技は、力士の体格や力の強さだけでなく、バランス感覚やタイミングも重要になります。

土俵上で相手を倒した場合、それは「浴びせ倒し」という別の決まり手になります。海外では、「Frontal crush out」と表現されることもあります。

歴史的な一番での寄り倒し

寄り倒しは、大相撲の歴史に残る数々の名勝負でも見られました。その中でも特に有名な例を以下に挙げます。

1. 1988年11月場所千秋楽：大乃国 vs 千代の富士
当時、53連勝中だった横綱千代の富士が、同じく横綱の大乃国に寄り倒しで敗れ、連勝記録がストップしました。この一番は、昭和最後の取り組みとしても記録され、大相撲史に残る名勝負として語り継がれています。

2. 2010年1月場所千秋楽：白鵬 vs 朝青龍
この場所で25回目の優勝を決めていた横綱朝青龍に対し、横綱白鵬が寄り倒しで勝利しました。この一番は、朝青龍の現役最後の相撲となり、劇的な幕切れとなりました。朝青龍は、この場所後に引退を表明しています。

3. 2017年3月場所13日目：日馬富士 vs 稀勢の里
横綱日馬富士が、横綱稀勢の里に対して寄り倒しを決めました。この取り組みで稀勢の里は左肩を負傷し、その後の力士生命に大きな影響を与えることになりました。稀勢の里は、この怪我を抱えながらも優勝決定戦を制しましたが、怪我が完治することなく引退しました。

その他の寄り倒しの事例

また、土俵際で相手にうっちゃりをかけられたものの、相手が先に倒れて寄り倒しで決着することもあります。このような場合、行司の判断によって「物言い」がつくこともあります。このように、寄り倒しは、最後まで勝負の行方がわからない、相撲の醍醐味を味わえる決まり手の一つと言えるでしょう。

寄り倒しのポイント

寄り倒しは、単に力任せに押すだけでは成功しません。以下の要素が重要になります。

密着: 相手にしっかりと体を密着させることで、力を効果的に伝えることができます。
重心: 相手の重心を崩すように、自分の体重をかけながら動く必要があります。
タイミング: 相手がバランスを崩した瞬間に、一気に押し倒すタイミングが重要です。

まとめ

寄り倒しは、相撲の基本的な決まり手でありながら、様々なドラマを生んできた技です。力士の技術だけでなく、歴史的な背景や力士の人生をも左右する、奥深い技であると言えるでしょう。

脚注

浴びせ倒し: 寄り倒しと似た技ですが、土俵上で相手を倒した場合に適用される決まり手。
物言い: 勝負の判定に疑義がある場合、行司が協議を求めること。

関連項目

大相撲の決まり手一覧
寄り切り
* 徳真鵬元久

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