富士山頂 (小説)

小説『富士山頂』

新田次郎の小説『富士山頂』は、富士山頂に気象観測用レーダーを建設するという壮大なプロジェクトを背景に、そこに携わる人々の人間ドラマを描いた作品です。作者の新田次郎自身が気象庁の職員として建設に携わった経験をもとに、建設の過程だけでなく、予算獲得のための折衝や、大手電機メーカーによる激しい入札競争、さらには政治家や政府高官からの圧力など、舞台裏の生々しい描写が特徴です。

物語では、富士山の馬方や強力が協力し、ブルドーザーを使って山頂まで資材を輸送する様子や、3700メートルを超える高地で高山病に苦しみながら建設作業を行う現場監督や労働者たちの姿が描かれています。また、ヘリコプターの能力を超える危険なドーム輸送に挑むヘリコプター会社の人々やパイロットの奮闘も物語に深みを与えています。

映画『富士山頂』

1970年には、石原裕次郎が主演・製作を務め、この小説を原作とした映画『富士山頂』が公開されました。映画では、大型台風による被害を軽減するために富士山頂に観測レーダーを建設するという困難なミッションに立ち向かう男たちの姿が描かれています。石原裕次郎の「映画は大スクリーンで見るもの」という信念から、長らくビデオソフト化やDVD化はされていませんでしたが、2009年にテレビ朝日系列で放送されました。

この作品は、『黒部の太陽』、『栄光への5000キロ』と並ぶ、石原プロモーションの代表作の一つとされています。

キャストとスタッフ

映画には、石原裕次郎をはじめ、渡哲也、田中邦衛、芦田伸介など、豪華キャストが出演しています。監督は村野鐵太郎、脚本は国弘威雄が担当しました。制作には、三菱電機、三菱重工業、大成建設、朝日ヘリコプター、気象庁などが協力しています。

音楽は黛敏郎と肥後一郎が担当し、重厚な音楽で作品を盛り上げています。

キャスト

梅原悟郎：石原裕次郎
加田雄平：渡哲也
馬方：田中邦衛
葛木章一(新田次郎)：芦田伸介
辰吉：佐藤允
岡田：中谷一郎
川西：本郷淳
茂子：市原悦子
美津子：星由里子
中林：山内明
加納専務：東野英治郎
寺崎：金井進二
荒木：古谷一行
伊佐山長官：清水将夫
大蔵省主計官：神山繁
初老の男（官吏）：信欽三
植松：玉川伊佐男
山中：加藤武
大田：小瀬格
榎木兵衛
伊石昇：山﨑努
大工の棟梁：今福正雄
若い男：樋浦勉
ヘリパイロット：酒井修
管野：武藤章生
作業員：藤山浩一
内村（会計課長）：鈴木瑞穂
富士山測候所員：浜田光夫
富士山測候所員・富沢：露口茂
村岡部長：宇野重吉
村上朝吉：勝新太郎

スタッフ

制作：石原裕次郎、二橋進悟、久保圭之介
協力：三菱電機株式会社、三菱重工業株式会社、大成建設株式会社、朝日ヘリコプター株式会社、気象庁
監督：村野鐵太郎
脚本：国弘威雄
撮影：金宇満司
照明：椎葉昇
録音：紅谷愃一
美術：横尾嘉艮
編集：渡辺士郎
助監督：近藤治夫
宣伝：株式会社日本芸能企画
現像：東洋現像所
制作担当：杠洋之輔
音楽：黛敏郎、肥後一郎
エグゼクティブプロデューサー：小林正彦
配給：日活
製作：石原プロモーション

関連作品

黒部の太陽：石原プロモーションが製作した、大規模ダム建設を描いた映画。
プロジェクトX：NHKのテレビ番組で、富士山レーダー建設の秘話が紹介された。
芙蓉の人〜富士山頂の妻：富士山頂の気象観測の礎を築いた野中至夫妻の伝記。

外部リンク

[石原裕次郎]]専科 - ウェイバックマシン（[https://web.archive.org/web/20190101074609/http://yujiro.net/）
[石原裕次郎]]専科 - 富士山頂 - ウェイバックマシン（[https://web.archive.org/web/20190101091651/http://yujiro.net/works/fujisanchou.html）
富士山頂 - allcinema
* 富士山頂 - KINENOTE

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