対馬オメガ局

対馬オメガ局

対馬オメガ局は、かつて長崎県対馬市に存在した、オメガ航法のための送信施設です。この施設は、海上保安庁によって管理されていました。

概要

対馬オメガ局のシンボルであった鉄塔は、正式名称を「対馬オメガ局送信用鉄塔」といい、通称「オメガ電波鉄塔」「オメガタワー」「オメガ塔」などと呼ばれていました。解体されるまで、その高さは454.83メートルに達し、東京タワーや南鳥島ロランC局、硫黄島ロランC主局を上回る、当時日本一高い建造物でした。2010年9月13日に東京スカイツリーが461メートルになるまで、日本史上最も高い建造物でした。

この鉄塔は、自立式ではなく、多数のワイヤーで支える支線塔でした。そのため、設置面積は非常に広く、舟志湾をまたいで1キロ[[メートル]]四方に及びました。塔の内部は空洞で、垂直タラップが設置されており、450メートル以上を垂直に登るには相当な体力が必要だったため、途中には休憩所が設けられていました。

オメガ航法とは

オメガ航法は、アメリカ合衆国が開発した電波航法システムで、船舶や航空機の航行に利用されました。1960年代から実地試験が始まり、1970年代から本格的なシステム構築が進められました。世界には8つのオメガ局が存在し、2つの局から発信される超長波の電波の位相差を計測することで、現在地を特定することができました。日本は1966年頃からアメリカと協議を重ね、オメガ航法への参加を検討し始め、1967年からは無線局設置場所の検討を開始しました。1969年に鉄塔方式での対馬への建設が決定し、1970年10月に建設工事が始まり、1975年に完成、同年5月から運用が開始されました。鉄塔の建設と管理は日本側が行いましたが、送信装置はアメリカから無償で貸与されました。

終焉と解体

1990年代に入ると、GPS（全地球測位システム）の民生利用が開始され、航法はGPSが主流となりました。そのため、対馬オメガ局は1997年9月末に閉局し、22年以上の歴史に幕を閉じました。閉局後、鉄塔を保存しようという声も上がりましたが、維持管理上の問題から解体されることになりました。1998年に解体工事が始まり、2000年3月末に完了しました。解体後、跡地はオメガ塔跡地公園として整備され、地上から10メートル程度の部分がモニュメントとして残されています。また、解体された鉄塔の一部は、近海の魚礁として沈設されています。

歴史

1970年10月 - 建設工事開始
1974年9月 - 鉄塔及び空中線工事完了
1975年5月 - 運用開始
1997年9月30日 - 閉局（GPSの普及による利用者の激減が理由）
1999年1月 - 解体開始
2000年3月末 - 解体完了
2010年9月13日 - 東京スカイツリーが高さ461メートルとなり、オメガ局の高さを超える

関連項目

対馬
オメガ航法
GAMERA -Rebirth- - 2023年にNetflixで配信されたアニメ作品。オメガ局を舞台にガメラとジグラが戦う。

脚注

(省略)

外部リンク

* オメガ鉄塔建設工事の記録（1974年9月、海上保安庁、横河工事株式会社、1996年3月、24分15秒、YouTube）

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