寿町 (横浜市)

寿町の歴史と現状

寿町（ことぶきちょう）は、神奈川県横浜市中区にある地域で、1丁目から4丁目で構成されています。この地域は、周辺の扇町や松影町を含む寿地区とも呼ばれ、総面積は約60,000平方メートルです。寿町には、日雇労働者が多く集まる「ドヤ街」が広がっています。

寿地区の背景

寿町は、根岸線や首都高に挟まれ、関内からは反対側に位置しています。ここには、日雇労働者が仕事を探すため集まる寄せ場があります。その周囲には、彼らの宿泊施設である簡易宿所が100軒以上並んでおり、これが「ドヤ街」と呼ばれる所以です。寿地区は、東京都台東区の山谷や大阪市西成区のあいりん地区（釜ヶ崎）と並ぶ、日本三大寄せ場の一つとして位置づけられています。

寿地区は、第二次世界大戦後の1955年までアメリカ軍によって接収されていました。この接収が解除された後、職業安定所が移転してきたり、簡易宿泊所が建設されたりすることで、日雇労働者がこの地に流入してきました。その結果、ドヤ街が形成されることとなりました。

ドヤ街の特徴

この地区のドヤの特徴には、「門限なし」や「自室に入るまでの廊下での外履き」があります。これにより、働く人々が自由に出入りすることができる環境が整えられています。さらに、毎年夏には「寿町フリーコンサート」が開催され、年末年始には「越冬闘争」と呼ばれる活動が行われます。この活動は、寿日雇労働者組合やキリスト教団体などが主体となって行われています。

歴史的な変遷

寿町界隈は、第二次世界大戦で非常に大きな影響を受けました。1945年5月29日に行われた横浜大空襲によって、街は焼け野原となりました。その後、接収解除までの10年間は治安が乱れ、さまざまな犯罪が発生し、一部の人々はこの地域を「西部の街」と称したという記録も残ります。

1956年頃には、在日韓国人が多く進出し、その土地の地主となりました。さらに1960年代には暴力団が増え、この地域の支配権を巡って対立が生じました。忍び寄る社会的な問題を抱えながらも、地域はともに生き延び、今日に至るまで続いています。

年表と現状

寿町の歴史を辿る中で、重要な年としては、1667年に吉田勘兵衛による「吉田新田」の完成が挙げられます。これによりこの地が形作られ、その後1750年にわたる埋め立て作業を経て、徐々に町が形成されていきました。1955年に米軍の接収が解除され、以降、簡易宿泊所が急増し、現代の「ドヤ街」としての姿が確立されています。

施設と活動

現在、寿町には様々な福祉センターや公共施設が点在しています。例えば、横浜公共職業安定所や寿町健康福祉交流センターがあり、地域住民の支援に取り組んでいます。また、地域の活性化を目指す「ヨコハマ・ホステル・ビレッジ」計画も進行中で、宿泊施設の改装により観光客の誘致を図っています。

ただし、観光地としての魅力を高める一方、ドヤ街特有の治安の問題や、訪れる観光客との摩擦も解決すべき課題として残っています。

まとめ

寿町は、古き良き歴史と現代的な地域の変化が交錯する特異な場所です。日雇労働者の生活の場として現在も重要な活躍を見せている一方で、その背景にはさまざまな社会的課題があります。地域活性化と共に、そこで生活する人々の生活環境の向上を目指す取り組みが、今後さらに求められていくことでしょう。

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