小カエピオ

クィントゥス・セルウィリウス・カエピオ（生没年不詳）は、紀元前1世紀の共和政ローマ末期に活躍した政治家であり、軍人です。彼は紀元前91年にプラエトル（法務官）を務めました。

彼は、同名のクィントゥス・セルウィリウス・カエピオ (紀元前106年の執政官)と区別するために、「小カエピオ」と呼ばれることがあります。また、クィントゥス・セルウィリウス・カエピオ (紀元前140年の執政官)や、小カエピオの長男も同名であるため、区別が必要です。

出自

セルウィリウス氏族は、ローマ建国期にアルバ・ロンガが滅亡した後、ユリウス氏族やクィンクティウス氏族などと共にローマへ移住した6つの氏族の一つとされています。この中でも、ユリウス氏族に次ぐ地位を確立しました。彼らは一族の運命によって大きさが変わるとされる神聖なトリエンス（青銅貨の1/3）を祀り、毎年供物を捧げていたと伝えられています。

紀元前3世紀末には、パトリキ（貴族）のカエピオ家と、プレブス（平民）のゲミヌス家に分かれて隆盛を誇りました。しかし、大カエピオの失策により、一族の勢いは衰退に向かいました。

家族構成

カエピオ家の家系図については諸説ありますが、ここではガイガー（Geiger）の研究に基づいた説を採用します。

クィントゥス・セルウィリウス・カエピオ（小カエピオ）
クィントゥス・セルウィリウス・カエピオ：小カエピオと最初の妻との間に生まれた子供
ホルテンシア：子カエピオの妻
リウィア：小カエピオの2番目の妻。護民官マルクス・リウィウス・ドルススの兄弟。後に離婚。
セルウィリア・カエピオニス：リウィアとの間に生まれた娘
マルクス・ユニウス・ブルトゥス (紀元前83年の護民官)：セルウィリアの夫
マルクス・ユニウス・ブルトゥス：セルウィリアの息子。子カエピオの養子となり、クィントゥス・セルウィリウス・カエピオ・ブルトゥスと名乗る
グナエウス・セルウィリウス・カエピオ：リウィアとの間に生まれた息子
セルウィリア (ルクッルスの妻)：グナエウス・セルウィリウス・カエピオの娘
ルキウス・リキニウス・ルクッルス：セルウィリア (ルクッルスの妻)の夫
マルクス・ポルキウス・カト (小カトの父)：リウィアの再婚相手
マルクス・ポルキウス・カト・ウティケンシス：小カトの父の息子

小カエピオの家族関係は複雑であり、当時のローマ社会における有力者たちの婚姻関係が、政治に大きな影響を与えていたことが伺えます。特に、彼の娘であるセルウィリアは、ガイウス・ユリウス・カエサルと愛人関係にあったとも伝えられており、カエサルの暗殺事件にも深く関わっていたとされています。また、セルウィリアの息子であるマルクス・ユニウス・ブルトゥスは、カエサルの養子となり、カエサル暗殺の首謀者の一人となりました。

このように、クィントゥス・セルウィリウス・カエピオ（小カエピオ）の一族は、共和政ローマ末期の激動の時代において、政治の中枢で活躍し、その後の歴史に大きな影響を与えた一族であったと言えるでしょう。

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