小交響曲 (箕作秋吉)

箕作秋吉「小交響曲 ニ長調 作品14」

概要

「小交響曲 ニ長調 作品14」（Sinfonietta in Re maggiore）は、日本の作曲家、箕作秋吉が1934年に作曲した、ピアノを伴う管弦楽のための作品です。この作品は、同年の第3回音楽コンクールで2位に入選し、その才能が広く知られるきっかけとなりました。

1936年3月6日には、指揮者ルネ・バトンによってパリで全曲初演が行われ、その後、ベルリンやバルセロナなど、ヨーロッパの主要都市でも演奏されるようになり、国際的な評価を確立しました。1939年には、権威あるワインガルトナー賞で優等賞を受賞するなど、その芸術性の高さが認められています。

また、この作品は、アレクサンドル・チェレプニンが編纂した楽譜集「チェレプニン・コレクション」の一つにも選ばれており、現代においても重要な作品として認識されています。「古典小交響曲」という名称で呼ばれることもありますが、龍吟社音楽事務所から出版された楽譜には「小交響曲」と表記されているため、本稿では「小交響曲」として扱います。

編成

この作品は、以下の楽器編成で構成されています。

フルート2（うち1人はピッコロ持ち替え）
コールアングレ1
クラリネット2（A管）
ファゴット2
ホルン2（F管）
トランペット2（D管）
ティンパニ1
トライアングル1（シンバル持ち替え）
ピアノ
弦楽五部（ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）

この編成は、古典的な管弦楽編成を基本としつつ、ピアノを効果的に加えることで、独自の響きを生み出しています。

楽曲構成

演奏時間は約20分で、以下の4つの楽章から構成されています。

1. Allegro - Presto leggierissimo
快速なテンポで、軽快なリズムと流れるような旋律が特徴の楽章です。

2. Aria. Cantabile
穏やかで歌うような旋律が美しい楽章です。

3. Sarabanda alla giapponese. graziosamente - Poco animato
日本の旋律を取り入れたサラバンドで、優雅さと少しの活気が感じられる楽章です。

4. Fuga. Allegro ma non troppo
フーガ形式で書かれた、生き生きとした楽章です。

各楽章は、古典的な形式を踏襲しながらも、箕作秋吉独自の音楽語法が用いられており、聴く人に新鮮な印象を与えます。

参考文献

箕作秋吉『小交響曲 : ニ長調』竜吟社音楽事務所、1936年。NDLJP:1239438。
箕作秋吉「自作について」『音楽藝術』 7 (9)、音楽之友社、1949年9月、45頁。
* 富樫康「箕作秋吉」『日本の作曲家』音楽之友社、1956年、295-301頁。NDLJP:2478658。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2478658/152。


この作品は、古典的な形式と日本の旋律が融合した、箕作秋吉の代表作の一つとして、今日でも広く親しまれています。

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