小倉慈司

小倉 慈司

小倉 慈司（おぐら しげじ）氏は、1967年に生まれた日本の歴史学者です。特に古代日本の歴史、とりわけ律令体制下の国家と神祇行政、そして天皇と宗教との関係史などを専門としています。その研究成果は、博士（文学）の学位として東京大学から授与されています。

経歴

東京都出身。氏は東京大学大学院人文社会系研究科の博士課程で高度な研究を積みましたが、単位を取得して退学しています。その後のキャリアは、歴史研究の実務に深く関わるものでした。

1996年からは、宮内庁書陵部において、貴重な史料の研究や管理に携わりました。そして、2010年からは国立歴史民俗博物館へと活躍の場を移し、現在に至るまで研究および博物館運営の中心的な役割を担っています。現在は同館のセンター長を務めています。

主な研究分野と業績

小倉氏の研究は、古代日本の政治制度、特に神祇に関わる法制や儀式、そしてそれらが国家構造や社会に与えた影響に焦点を当てています。また、日本の年号制度の歴史や、中世初期における貴族の信仰や神事への関わり方など、幅広いテーマに取り組んでいます。

その研究成果は多くの著作や論文として発表されています。主な著書としては以下のものがあります。

『天皇と宗教』（山口輝臣氏と共著、講談社学術文庫、天皇の歴史9巻、2018年）
『事典 日本の年号』（吉川弘文館、2019年、ISBN 9784642083539）
『古代律令国家と神祇行政』（同成社、2021年）
『『小右記』と王朝時代』（倉本一宏氏、加藤友康氏と共編、吉川弘文館、2023年、ISBN 9784642046749）

これらの著書のうち、『事典 日本の年号』は日本の年号に関する包括的な情報をまとめたものであり、『古代律令国家と神祇行政』は自身の専門分野における詳細な研究成果が示されています。『天皇と宗教』では、天皇と日本の宗教との歴史的な関係を、『『小右記』と王朝時代』では平安時代中期の藤原実資の日記である『小右記』を史料として王朝時代を読み解いています。

また、学術論文においても重要な成果を発表しています。代表的なものとしては、

「『延喜式』制以前の伊勢神宮 - 8～9世紀の内宮と外宮をめぐって」（思文閣出版、John Breen編『変容する聖地 伊勢』所収、2016年）
「摂関期における貴族の神事観」（山川出版社、大津透編『摂関期の国家と社会』所収、2016年）

などが挙げられます。これらの論文は、それぞれ古代の伊勢神宮の形成過程や、摂関期と呼ばれる時代の貴族が神事に対してどのような意識を持っていたのか、といったテーマを詳細に論じています。

国立歴史民俗博物館のセンター長として、現在も日本の歴史研究の推進と普及に貢献しています。

参考文献

小倉慈司・山口輝臣『天皇と宗教』講談社学術文庫、2018年。
研究者紹介/小倉慈司 - 国立歴史民俗博物館

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