小山城 (下野国)

小山城：戦国時代の歴史と絶景を今に伝える城跡

小山城は、栃木県小山市に位置する、鎌倉時代から戦国時代にかけて小山氏によって築かれた城です。別名「祇園城」と呼ばれ、地元ではこの呼び名の方が広く知られています。城跡は「小山氏城跡（鷲城跡・祇園城跡・中久喜城跡）」として国の史跡に指定されており、関東の富士見百景にも選定されている、歴史と自然が融合した貴重な場所です。

小山城の歴史：小山氏の盛衰と戦乱の舞台

伝承によれば、小山城は1148年（久安4年）、小山政光によって築城されたとされています。小山氏は武蔵国を本拠とした藤原秀郷の子孫を称する太田氏の一族で、政光が下野国小山に移住したことで、小山氏を名乗るようになりました。

小山城は、中久喜城、鷲城とともに、下野国守護を務めた小山氏の主要な居城でした。当初は鷲城の支城でしたが、南北朝時代には小山泰朝が居城とし、以後、小山氏代々の本拠地となりました。

1380年（康暦2年）から1383年（永徳2年）にかけて発生した小山義政の乱では、小山方の重要な拠点として機能しました。文献資料に記される鷲城、岩壺城、新々城、祇園城、宿城のうち、「祇園城」が小山城にあたると考えられています。この乱で小山氏は鎌倉府によって滅ぼされましたが、同族の結城家から養子を迎えて再興しました。

その後も小山氏の居城として機能していましたが、天正4年（1576年）、小山秀綱が北条氏照に降伏し、開城しました。北条氏照は城を改修し、北関東攻略の拠点として利用しました。しかし、天正10年（1582年）、織田信長の惣無事令により、滝川一益の仲介で北条氏から小山城は返還されました。ただし、この返還には北条氏への帰属が条件として含まれており、小山氏は以前のような権力を回復することはできませんでした。

小田原征伐の後、1602年（慶長12年）頃、本多正純が相模国玉縄より入封しましたが、1619年（元和5年）に宇都宮へ移封されたため、小山城は廃城となりました。明治時代には、第二代衆議院議長を務めた星亨の別邸が建てられていましたが、現在は残っていません。発掘調査で礎石と思われるものが発見されています。

なお、別名である「祇園城」は、小山氏の守護神である祇園社（現在の須賀神社）に由来しています。

小山城跡の現状と文化財指定

小山城があった場所は、現在は城山公園となっています。小山市役所の近くには「小山評定跡」の石碑と由来碑が設置されています。城跡には、空堀で区切られた各曲輪や、土塁、空堀、馬出しなどの遺構が明瞭に残っています。隣接する天翁院（小山氏の菩提寺）にも、空堀や土塁などの遺構が残されています。城山公園の南側には小山御殿跡（元和8年）があり、平成27年に再整備され小山御殿広場となっています（国史跡の範囲に含まれています）。

城跡内には、実のならないイチョウの古木があり、小山市の天然記念物、とちぎ名木100選にも選定されています。

1991年（平成3年）、小山城跡は「祇園城跡」として、鷲城跡とともに国の史跡に指定されました（指定名称は「小山氏城跡 鷲城跡 祇園城跡」）。その後、2001年（平成13年）には、未指定部分の追加指定と中久喜城跡の追加指定が行われ、「小山氏城跡 鷲城跡 祇園城跡 中久喜城跡」に名称が変更されました。また、2016年（平成28年）には、小山市民病院での発掘調査で出土した遺物が「祇園城跡小山市民病院地点出土品」として、栃木県指定有形文化財に指定されています。

小山城跡は、歴史的価値の高い城跡であり、多くの歴史的遺構や自然が一体となった貴重な場所です。訪れる際には、その歴史と自然の美しさに触れてみてください。

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