小山弘志

小山弘志氏は、日本の国文学界に多大な貢献を果たした著名な学者でした。1921年1月1日東京に生まれ、旧制一高を経て、1943年に東京帝国大学国文科を卒業しています。その後、東京大学教養学部教授として長年にわたり教鞭をとり、1974年から1976年にかけては同学部長を務めるなど、大学運営にも大きく貢献しました。

彼の専門は謡曲であり、その深い造詣は多くの研究者や愛好家に知られています。日本の古典芸能、特に能楽に関する造詣の深さは抜きん出ており、数々の重要な研究成果を残しました。その研究活動は、単なる学問にとどまらず、広く一般の人々への啓蒙活動にも及んでいました。分かりやすく親しみやすい解説で、能楽という伝統芸能の魅力を多くの人に伝えました。

定年退官後の1981年には、国文学研究資料館の館長に就任。国文学研究の発展にも尽力しました。同館は日本の国文学研究の中核を担う機関であり、その館長として、貴重な資料の保存・管理、研究活動の支援など、多岐にわたる役割を担いました。これらの活動を通して、彼は日本の国文学、そして古典芸能の継承と発展に貢献し続けました。

数多くの著書や編著は、後世の研究者や学生にとって貴重な資料となっています。代表的な著書には『業余片片』(私家版、1993年)があり、彼の学問に対する姿勢や、研究生活の一端を垣間見ることができます。『日本古典劇』(鶴見誠共著、さ・え・ら書房、1959年)、『日本古典文学全集 謡曲集』(佐藤喜久雄、佐藤健一郎共編、小学館、1973-75年)、『日本文学新史 中世』(至文堂、1985年)、『岩波講座能・狂言 6 能鑑賞案内』(岩波書店、1989年)、『岩波講座能・狂言 7 狂言鑑賞案内』(岩波書店、1990年)、『日本の古典芸能における演出』(岩波書店、2004年)など、その著作は多岐に渡り、日本の古典文学や芸能研究に大きな足跡を残しました。これらの著作は、今日でも多くの研究者によって参照され、高く評価されています。

2011年2月16日、肺炎のため90歳で逝去されました。彼の死は、日本の国文学界にとって大きな損失となりましたが、彼の業績はこれからも日本の学問、文化の発展に貢献し続けるでしょう。小山弘志氏の功績は、日本の古典芸能研究、ひいては日本の文化遺産の保存と継承に大きく貢献しました。彼の研究は、後世の研究者たちに多大な影響を与え続け、日本の古典芸能を理解する上で重要な指針となっています。

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