小島貞二

小島貞二の生涯

小島貞二（こじま ていじ）は、1919年3月21日に愛知県豊橋市で生まれ、2003年6月24日に84歳で亡くなった日本の著作家、相撲・プロレス・演芸評論家、歴史研究家、そして作詞家です。彼の多岐にわたる活動は、日本の大衆文化に深く貢献しました。

若き日の挑戦

旧制豊橋中学校（現：愛知県立時習館高等学校）を卒業後、小島は漫画家を目指して上京し、川原久仁於に師事しました。しかし、身長182cmという恵まれた体格が買われ、大[[相撲]]の道へ進むことになります。1938年5月場所には本名で初土俵を踏み、双葉山の70連勝を阻止した安芸ノ海の付け人を務めました。この経験は、後の著作『別冊1億人の昭和史 昭和大[[相撲]]史』で詳細に語られています。

戦時中の経験

1942年1月場所限りで力士を廃業した後、小島は博文館に入社し、雑誌『野球界』の編集部で相撲記事を担当しました。しかし、戦況の悪化に伴い、炭鉱会社の麻生鉱業へと転じ、南方セレベス島へ派遣され、そこで終戦を迎えます。捕虜生活の中で、彼は仲間たちの娯楽と生活記録のため、4コマ漫画『寅さん』を連載しました。この漫画は、戦後の書籍『私の八月十五日』で公開され、当時の貴重な記録として注目されました。

ジャーナリスト、放送作家としての活動

帰国後、小島は芸能新聞『スクリーン・ステージ』の演芸記者となり、その後、夕刊東京日日新聞で相撲・演芸担当の記者として活躍しました。新聞社退職後は放送作家に転身し、ラジオ番組『起きぬけ漫才』の台本や、小林旭の『恋の山手線』などのコミックソングの作詞を手がけました。また、相撲時代からの友人である増位山大志郎（9代三保ヶ関）の息子、増位山太志郎（10代三保ヶ関）に歌手への道を勧めたことでも知られています。

評論家、研究者としての足跡

その後、小島は著述業に力を注ぎ、正岡容から演芸を、長谷川伸から作家としての心得を学びました。力士、記者、放送作家としての経験を生かし、評論や研究を重ね、160冊を超える著作を出版しました。特に、5代目古今亭志ん生の自伝『びんぼう自慢』の聞き書きを担当したことは、彼の大きな功績の一つです。また、『11PM』の女相撲コーナー解説者や、日本初の女子プロレス解説者としても活躍し、テレビでもおなじみの存在となりました。

文化活動と晩年

1977年には放送作家たちの笑芸研究団体「有遊会」を設立し、笑いの文化を牽引しました。さらに、「千葉笑い」を朝日新聞千葉版で復興させ、笑文芸を身近なものにする活動も行いました。2003年6月24日、地元の落語会で解説中に脳出血のため急逝しましたが、その文化への貢献を称え、2004年に市川名誉市民の称号が贈られました。2019年には、市川市文学ミュージアムで『生誕100年記念展 小島貞二の多彩な世界』が開催され、その多岐にわたる業績が再評価されました。

多彩な著書と編集活動

小島貞二は、相撲、プロレス、演芸、落語など、様々なジャンルにわたる多くの著作を残しました。『はなしの土俵』、『日本プロレス風雲録』、『物語相撲部屋』、『漫才世相史』など、各分野の歴史や文化を深く掘り下げた作品は、今日でも貴重な資料として評価されています。

また、古今亭志ん生の作品の編集にも携わり、『古今亭志ん生 びんぼう自慢』をはじめとする数々の作品を世に送り出しました。その他にも、『艶笑落語』シリーズや、『落語名作全集』など、落語文化の普及に大きく貢献しました。

作詞家としての才能

作詞家としては、小林旭のヒット曲『恋の山手線』を手がけました。この曲は、四代目柳亭痴楽の落語をヒントに作詞されたもので、コミックソングのジャンルで広く愛されています。

まとめ

小島貞二は、力士、記者、放送作家、評論家、研究家、作詞家として、多岐にわたる分野で才能を発揮した人物です。彼の業績は、日本の大衆文化の歴史において、重要な位置を占めています。

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