小市場町

小市場町（こいちばちょう）

小市場町は、愛知県名古屋市中区に位置していた町名です。現在では道路用地のみが残っていますが、かつては名古屋の歴史を語る上で重要な場所でした。この記事では、小市場町の地理、歴史、史跡について詳しく解説します。

地理

江戸時代、小市場町は名古屋城下町の町人町の一つとして栄えました。碁盤割の街区では、大津町筋の東に位置し、鍛冶屋町筋の桜ノ町筋から袋町筋までの2丁が小市場町でした。また、明治初年に小市場町に併合された小塚町は、小市場町の南側に位置し、袋町筋から本重町筋の間を指していました。

学区

小市場町があった地域の学区は以下の通りです。

高等学校：尾張学区
中学校：名古屋市立丸の内中学校
小学校：名古屋市立名城小学校

人口

小市場町の人口については、国勢調査による記録が残っていますが、現在は町名が消滅しているため、最新の人口データはありません。

歴史

地名の由来

小市場町の地名は、清洲越しによって慶長19年（1614年）に清須北市場が移転してきたことに由来します。当初は「北市場」と呼ばれていましたが、時が経つにつれて「小市場町」と表記されるようになりました。

沿革

小市場町の歴史を年表形式でまとめました。

1615年（元和元年）：小塚町が清須から当地に移転（元和4年という説もある）。
明治4年：小塚町を併合。
1878年（明治11年）12月20日：名古屋区成立に伴い、名古屋区小市場町となる。
1889年（明治22年）10月1日：名古屋市成立に伴い、名古屋市小市場町となる。
1908年（明治41年）4月1日：東区成立に伴い、東区小市場町となる。
1912年（明治45年）：
3月：名古屋信託株式会社が設立。
5月：興農株式会社（屎尿汲取掃除請負業）が設立。
1944年（昭和19年）2月11日：栄区成立に伴い、栄区小市場町となる。
1945年（昭和20年）11月3日：栄区廃止に伴い、中区小市場町となる。
1966年（昭和41年）3月30日：一部が錦三丁目に編入。
1976年（昭和51年）1月18日：一部が栄三丁目に編入され、この時点で小市場町は廃止されたとされています（『角川日本地名大辞典』および『なごやの町名』による）。

史跡

小市場町には、以下のような史跡がありました。

大河内存真宅址（小市場町四丁目）

小市場町四丁目には、大河内存真の屋敷跡がありました。大河内氏は、江戸時代に尾張藩に仕えた家柄です。

小袖塚跡

小袖塚は、小塚町の東側に位置していました。塚の近くには小袖松と呼ばれる松が植えられており、この松には複数の由来が伝えられています。

井戸田村に流された藤原師長が都に戻ることを嘆いた女性が入水した際に、小袖を掛けた松であるという説。
師長の形見の小袖を、女性の故郷に近いこの地に埋めたという説（府城志および金鱗九十九之塵による）。
戦乱で行方不明になった長者の娘の小袖が掛けられていたという説。

ただし、尾張藩士の阿部直輔は『阿部直輔備忘志』の中で、小塚町が清須越によって移った地名であるため、小袖塚も元々清須にあったはずだと述べています。

小袖松は、1794年（寛政6年）に枯死しましたが、その後、新たに別の木が植えられました。

脚注

WEB

(関連するウェブサイトへのリンクがあればここに記述)

書籍

(関連する書籍への情報があればここに記述)

参考文献

名古屋市会事務局 編『名古屋市会史 別巻 総合名古屋市年表（明治編）』名古屋市会事務局、1961年12月25日。全国書誌番号:49011381。
名古屋市文化財調査保存委員会 編『名古屋史蹟名勝紀要』芸術案内社、1954年12月25日。
平凡社地方資料センター 編『日本歴史地名大系第23巻 愛知県の地名』平凡社、1981年11月30日。ISBN 978-4-582-49023-7。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 23 愛知県』角川書店、1989年3月8日。ISBN 4-04-001230-5。
名古屋市計画局『なごやの町名』名古屋市計画局、1992年3月31日。

統計資料

名古屋市総務局企画室統計課 編『昭和31年版 名古屋市統計年鑑』名古屋市、1957年。
名古屋市総務局企画部統計課 編『昭和41年版 名古屋市統計年鑑』名古屋市、1967年。

関連項目

名古屋市の地名

この文章は、提供された情報を基に、読みやすく詳細な解説を心がけて作成しました。

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