小平市コミュニティタクシー

東京都小平市内を運行するコミュニティタクシーは、市の公式キャラクター「ぶるべー」にちなみ、「ぶるべー号」の愛称で市民に親しまれています。これは、市内の交通空白地域などを結び、住民の移動手段を確保することを目的として運行される公共交通の一つです。

ぶるべー号の運行は、市内に本社を置くタクシー事業者である小平交通有限会社とトーショー交通株式会社に委託されています。小平交通は主に栄町ルートを、トーショー交通は大沼ルートと鈴木町ルートを担当しています。なお、トーショー交通は小平市だけでなく、東京都東久留米市で運行されているデマンド型交通「くるぶー」の受託実績も有しています。

ぶるべー号の歴史は、まず特定の地域での実証実験から始まりました。大沼ルートでは2008年（平成20年）3月から、花小金井ルートでは同年10月から実証運行が行われています。その後、栄町ルートが2010年（平成22年）5月に、大沼ルートが2009年（平成21年）9月にそれぞれ試行運行を開始しました。鈴木町ルートの試行運行は2015年（平成27年）3月23日から始まっています。運行開始後も、利用状況や地域の要望に応じて、ダイヤ改正やルート変更が度々行われています。例えば、栄町ルートでは2012年（平成24年）と2015年（平成27年）11月に、大沼ルートでは2014年（平成26年）5月に改正が行われています。また、ぶるべー号は地域の重要な足として着実に利用を伸ばしており、2015年（平成27年）10月には栄町ルートの累計乗車人数が10万人を突破し、2020年（令和2年）12月には3ルート全体の累計乗車人数が55万人を超えました。さらに、2020年（令和2年）11月には、コミュニティタクシーの運営に携わる関係団体が国土交通大臣表彰を受賞するなど、その取り組みが高く評価されています。

運行は平日のみで、月曜日から金曜日まで運行されています。土曜日、日曜日、祝日、および年末年始（12月29日～1月3日）は運休となります。運賃は大人（中学生以上）が150円、こども（小学生）が80円となっており、未就学児は無料で乗車できます。小平市コミュニティバス「にじバス」と共通で利用できる回数券や一日乗車券も販売されており、よりお得に利用することが可能です。回数券は10回分の価格で11回乗車でき、一日乗車券は大人400円、こども200円です。ただし、ぶるべー号ではPASMOやSuicaといった交通系ICカード、東京都シルバーパス、タクシー券は利用できません。

現在、ぶるべー号は主に栄町ルート、大沼ルート、鈴木町ルートの3ルートで運行されています。各ルートは地域内の主要な施設や住宅地、駅などを巡る経路が設定されており、例えば栄町ルートは小川駅入口周辺を起点・終点とする循環経路、大沼ルートは小平駅入口周辺を、鈴木町ルートは花小金井駅南口を起点・終点とする経路を中心に運行しています。多くの場合、起点・終点を越えての継続乗車が可能です。運行間隔は、一部の便を除いて概ね30分間隔で運行されており、日中の主な運行時間は9時から17時30分頃までとなっています。

使用される車両は、9人乗りのワンボックスカーが基本となっており、トヨタ・ハイエースや日産・NV350キャラバンなどが利用されています。もし定員を超過する利用があった場合は、続行便が運行されることで対応されます。運行ルートの検討にあたっては、本格的な試行運行開始前に実証実験が行われており、大沼、花小金井、栄町、鈴木、花小金井南町、鷹の台駅西側、上水本町・一橋といった地域で複数回にわたり実施されました。これは、地域住民のニーズや道路状況などを踏まえ、最適な運行形態を模索するための重要なプロセスとなっています。

もう一度検索