小掛照二

小掛 照二の生涯と功績

小掛照二（こがけ てるじ、1932年12月18日 - 2010年5月9日）は、広島県甲奴郡上下町出身の元陸上選手であり、陸上競技の指導者としても知られています。彼は三段跳の世界記録保持者であり、日本陸上競技連盟の副会長を務め、さらに日本オリンピック委員会の元副会長でもありました。

幼少期と競技者としての道

小掛は中国山地の農家に長男として生まれ、幼少期から跳躍に秀でた才能を持っていました。サッカーではなく、陸上競技を選んだのは教師の勧めがあったからです。当時、日本では三段跳は「ホップ・ステップ・ジャンプ」と遊び感覚で親しまれる種目であり、小掛もその魅力に引き込まれました。1948年には広島県立上下高校に進学し、三段跳や走高跳、走幅跳などで次々と成果を上げました。

彼は早稲田大学に進学し、大学生活でも陸上競技に注力しましたが、卒業後の1955年には大昭和製紙に入社し、ようやく才能が開花しました。1956年には、仙台市で開催された日本陸上競技選手権で三段跳の世界新記録を樹立しました。記録は16m48cmであり、当時の世界記録を25cm上回る驚異的なものでした。

五輪での厳しい経験

しかし、オリンピック本番では期待に応えられず、8位に終わってしまいました。この結果は当時のマスコミに厳しく批判され、大きな重圧を背負うことになりました。1960年にはローマオリンピックの出場権を獲得したかに思われましたが、選考の結果漏れ、選手生活を終える決意を固めます。この時、彼はユニフォームとスパイクを燃やし、陸上から離れることを決めました。

指導者としての道

その後、友人の織田幹雄の勧めで指導者の道に入ることになります。1962年に日本陸上競技連盟の強化コーチとなった彼は、自らの経験をもとに選手育成に尽力しました。これ以降、小掛は東京オリンピックやモスクワオリンピックなど多くの国際大会で監督やコーチを務め、選手たちの成長を支えました。

特に1984年のロサンゼルスオリンピックでは陸上監督としての役割を果たし、1992年のバルセロナオリンピックでは女子マラソン選考においても意見を持っていました。彼はこの選考において多くの批判を受けましたが、最終的に指導者としての手腕を発揮し、女子マラソンの強化を進めました。

マラソンとその他の活動

小掛は長きにわたって、日本の陸上競技、特にマラソンの底上げに尽力し、その成果が実を結びました。彼の死後、多くの選手や関係者が彼の情熱に感謝の意を示しました。小掛は、スポーツ界において重要な役割を果たし続けてきた一人であり、国際オリンピック委員会のオリンピックオーダー銀賞を受賞しています。

2010年5月9日、77歳で肝不全により逝去した際、多くの人々が彼の生涯と功績を懐かしみました。小掛照二の教育と指導は、日本陸上競技界の将来にわたって影響を及ぼすことでしょう。

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