小林流 (囲碁)

小林流とは

小林流は、囲碁の布石における重要な戦略の一つで、特に黒番での戦いにおいてその力を発揮します。具体的には、黒が星と小目に石を配置し、相手の星へのカカリに対して、さらにヒラキまで行う一連の配置を指します。この布石は、小林光一九段が全盛時代に多用し、数々の好成績を収めたことから、「小林流」と呼ばれるようになりました。その戦略的な優位性から、世界中の棋士の間で広く採用され、一時は「黒番必勝の布石」とまで言われるほどの流行を見せました。

小林流の特徴

小林流は、中国流と同様に、小目からのシマリを省略し、迅速に布石を進める点を特徴としています。発展性と攻撃性を兼ね備えており、序盤から積極的に主導権を握りたい場合に有効です。具体的な展開としては、相手のカカリに対して挟み撃ちで厳しく攻撃し、下辺を地模様として確保しつつ、右上方面へと勢力を拡大していくのが基本戦略です。もし白がこの攻撃を避けて他の場所に打った場合、黒は有利な位置にシマることで理想的な形を築くことができます。


例えば、白が一間高ガカリをしてきた場合、黒は二間に高くハサミを打ち、互いにトビ合った後、黒がノゾキを入れることで白にツギを強要し、下辺を地化します。その後、黒は両辺に展開することで有利な局面を築きます。この展開を避けるため、白は一間高ガカリではなく、大ゲイマガカリを採用することが多く、二間高ガカリも同様の理由で用いられることがあります。


白が大ゲイマガカリをしてきた場合は、黒は肩を突いていくのが一般的です。その後、白がスベってきた際に、黒はハサミを打つ、あるいは下辺を拡大するなどの多様な手法が研究されています。

小林流への対策

小林流の強力な展開を阻むためには、いくつかの対策が考えられます。例えば、白が6手目で黒のハサミに対してさらにハサミ返したり、カカリ返したりすることで、小林流の展開を阻止し、別の布石へと誘導することが可能です。これらの対策を講じることで、小林流の優位性を打ち消すことができます。

新小林流

小林流の発展形として、小林光一九段は後に、5手目を小ゲイマにシマるという手堅い布石を多用するようになりました。この布石は、従来の小林流と比較して、より安定した展開を目指すものであり、「新小林流」と呼ばれています。新小林流は、小林流の持つ攻撃性を維持しつつも、より慎重なゲーム運びを可能にする布石として、多くの棋士に採用されています。

参考図書

小林光一『進化する布石構想―「小林流」で序盤から優勢を築く (小林光一の囲碁上達塾)』（フローラル出版） 2003年 ISBN 978-4930831460
小松英樹『基礎からわかる 小林流布石の教科書』（マイナビ） 2014年 ISBN 978-4839953454
小林光一『名誉三冠小林光一 布石の神髄』（NHK出版） 2017年 ISBN 978-4140162491
鶴山淳志『三連星・中国流・小林流を極める72の手筋』（マイナビ） 2018年 ISBN 978-4839965204

関連項目

三連星
中国流
* ミニ[[中国流]]

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