三連星

三連星（さんれんせい）

三連星とは、囲碁における布石の戦略の一つで、盤面の隅、辺、隅と隣接する三つの星を占める布石のことです。この配置は、中央に大きな模様を築くことを目的としており、大胆な戦略として知られています。隅の星を二つ占める二連星とは異なり、三連星はより中央への影響力を重視した布石と言えるでしょう。特に、プロ棋士の武宮正樹がこの布石を愛用し、「宇宙流」と称される独特の棋風で世界を席巻したことで有名です。

歴史

三連星の歴史は古く、六子以上の置碁では自然と現れる形でしたが、互角の対局における布石として本格的に用いられるようになったのは、1933年に木谷実が試したのが始まりとされています。その後、プロ棋士の間で一時的に大流行しましたが、新布石の衰退とともにその頻度は減少しました。しかし、木谷の弟子である武宮正樹が三連星を多用し、その独特の棋風で大きな成功を収めたことで再び注目を集めました。武宮の影響で、中国や韓国でも三連星が盛んに用いられる時期がありましたが、近年では対策が進み、単調な碁形になりやすいという認識から、プロの間では使用頻度が減っています。

特徴

三連星の最大の特徴は、全ての石が四線に位置しているため、中央に大きな模様を築きやすいという点です。また、隅を一手で済ませることができるため、序盤から迅速な展開が可能になります。しかし、その反面、地（じ）には弱く、攻めを失敗して模様を荒らされると、一気に不利になるリスクも抱えています。

三連星に対するカカリ

相手が内側からカカると、黒は重く攻める展開になり、主導権を握りやすくなります。このため、三連星に対しては、内側からのカカリは一般的に不利とされています。一方、外側からのカカリには、黒は一間に挟むことで相手に三々入りを促し、その後、右辺に大きな模様を築くことを目指すのが理想形です。この際、下辺の星に展開する手を「四連星」と呼ぶこともあります。

カカリへの対策

外側からのカカリに対し、白は中央に飛び出すことで、黒の模様の拡大を阻止し、中央への影響力を確保する対策が有効とされています。また、黒の一間へのカカリに対しては、白が打ち込むことで黒の模様を簡単に荒らすことができるため、三連星布石の弱点とされています。そこで、黒はカカリに対して中央へコスミを打つことで、三々入りを誘い、中央での勝負を目指す「牛角三連星」という手法が開発されました。

オールスター

黒が三連星を打ったのに対し、白も三連星を打って、辺と天元を占め合う形を「オールスター」または「九連星」と呼びます。1990年代に流行しましたが、黒が有利であるという結論が出ており、現在ではあまり見られません。

参考図書

武宮正樹『システム布石　三連星』誠文堂新光社
呉清源『呉清源教室〈1〉三連星―布石でリードする新戦略』毎日コミュニケーションズ
加藤充志『中盤の花形戦法　運用、撃退マニュアル』

関連項目

中国流
ミニ中国流
小林流

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