小河信安

小河信安の生涯

小河信安（おがわ のぶやす）は戦国時代の日本に生きた武将で、龍造寺氏の家臣として知られています。彼は小河為純の子として生まれ、小河氏の当主となりました。実際の家系は、肥後国の菊池氏の庶流に由来しています。信安の祖父、為安は菊池氏の20代当主である為邦の弟であり、父の為純が筑後国の上小河と下小河を知行したことにより、小河氏を名乗るようになりました。

信安は龍造寺隆信が宗家を継いだ後、彼の側近として重要な役割を果たしました。彼は龍造寺家直、龍造寺家宗、納富信景、福地信重らと共に家老として仕えました。また、隆信が土橋栄益により村中城から追放された後、復帰を果たした際には納富栄房、江副久吉らと連携して執権としても活躍しました。特に信安は、隆信による神代勝利の攻略を助け、その進行を支援したことで知られています。

信安は城を守るために春日山城に籠もり、永禄元年（1558年）には敵の攻撃を受けることとなりました。この攻撃は神代家臣である梅野帯刀と松瀬又三郎によって行われ、城は落とされてしまいました。信安は一族の多くを失いながらも、8月15日に手勢を率いて出陣し、鉄布峠で神代勝利の軍と対峙しました。翌朝、双方の指揮官が山中で出くわし、一騎討ちが繰り広げられましたが、信安は敗れ、彼に仕えていた河浪駿河守に討たれました。この一戦の結果、信安は龍造寺家にとって非常に重い哀しみをもたらしました。

信安には小河豊前守と名乗る嫡子がいましたが、父の死を聞いた彼は敵に討ち入り、戦死してしまいます。信安の血筋を絶やさないため、鍋島清房の三男、信俊が信安の娘と結婚し、跡を継ぐこととなりましたが、彼もまた沖田畷の戦いで命を落としました。その後も信安の家系は困難に直面し、残った二人の息子は朝鮮出兵で病死してしまいます。信安の名跡が途絶えることを惜しんだ鍋島直茂は、彼の子である忠茂に小河氏を継がせ、忠茂は後に鹿島藩を建立しました。しかし、彼の子孫である正茂が系統を絶ったため、鹿島藩の継承の歴史は複雑なものとなりました。

逸話

信安には彼の人柄を示す興味深い逸話がいくつか残されています。龍造寺胤栄が死去した際、信安はその悲しみから「主人なしでは誰に従うのか」と殉死を考えたと言われています。また、隆信と彼の妻との仲が悪化することを危惧した信安は、妻に刀を見せることで彼女の言動を戒めました。さらには、神代勝利を暗殺しようとした信安ですが、勝利が酒宴中だったことから彼は容易に城に侵入することができ、両者は酒を交わしながら人間性を示しました。

これらの逸話は、信安の武将としての側面だけでなく、彼の人間性や忠誠心を物語っています。彼の生涯は、戦国時代における家族、友情、そして忠義の深さを表すものとなっており、その足跡は今なお多くの人に伝えられています。

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