小田原急行鉄道51形電車

小田原急行鉄道51形電車

小田原急行鉄道51形電車は、小田急の前身である小田原急行鉄道と、東京急行電鉄（大東急）によって運行された特異な電車です。この51形は、その容姿として唯一の木造車両であり、小田急における特別な存在とされています。この文書では、51形電車の登場から相模鉄道（相鉄）への譲渡に至るまでの歴史を詳しく解説します。

登場の背景

小田急が設立された初期は、経営が困難をきたしており、社員の昇給もなく、株主への配当も無配である期間が6年間続いていました。1930年代後半には、沿線に軍の施設が設立され、輸送の需要が増加しましたが、依然として新車を製造できる余裕はありませんでした。そのため、1938年には鉄道省に対し、旧型車両の払い下げを申請し、3両のモハ1形（旧デハ33500形）を獲得しました。

動き出した51形

改造されたこれらの車両は、両運転台付きとして活用され、当初は単行運転のほか3両編成での運用が行われました。しかし、木造の車体は経年劣化しやすく、制御機器の不具合が頻発し、駆使されるダイヤに影響を及ぼすことが多かったため、乗務員の間では「ギャング」というあだ名で敬遠される存在となりました。1941年に、全室運転台から半室運転台への改造が行われつつ、窓下に鋼鉄の枠を設けるなどの簡略な鋼体化も施されました。

1942年、51形は東急に合併され、形式名がデハ1100形に変更。全ての車両が改番され、元の番号に1050を加えた形で新たな番号が付与されました。例えば、モハ51はデハ1101となりました。

転属とその後の運用

1943年6月、大井町線が延伸されたことにより、デハ1101とデハ1102は目蒲線、デハ1103は大井町線へ転属することになります。この際、転属先の架線電圧が小田原線とは異なるため、降圧改造が施されました。1944年には東急による相鉄厚木線の電化により、横浜と二俣川間での運用が始まりました。1945年にデハ1103が焼失し、休車となったものの、残りの2両は直流1,500Vへの昇圧改造が行われ、他車両との連携運用が実現しました。

1947年の5月末、相鉄の経営委託が解除された後、残された3両は正式に相鉄に譲渡され、2000系に編入されました。その際、うち2両は鋼体化され、新たな形を得ました。

車両の一覧

1. 鉄道省デハ33515 → モハ1039 → 小田急モハ51 → 東急デハ1101 → 相鉄モハ2001
2. 鉄道省デハ33516 → モハ1040 → 小田急モハ52 → 東急デハ1102 → 相鉄モハ2002
3. 鉄道省デハ33525 → モハ1049 → 小田急モハ53 → 東急デハ1103 → 相鉄モハ2003

まとめ

小田原急行鉄道51形電車は、小田急の歴史の中で特異な役割を果たした木造車両です。その運用の背景や、さまざまな変遷を経た結果として相模鉄道に譲渡されるまでの記録は、鉄道の歴史を紐解く上で重要なエピソードと言えるでしょう。

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