小田原機器

株式会社小田原機器の概要

株式会社小田原機器（おだわらきき）は、神奈川県小田原市に本社を置く企業で、主にバス用の運賃箱や両替機を製造しています。1965年からバス機器の開発に取り組んでおり、日本国内での市場シェアは非常に高いです。

歴史の背景

小田原機器の起源は1950年に遡ります。その時期、富士フイルムの協力企業として「小田原鉄工所」として発足しました。最初の製品はモーター用自動捲線機です。1965年からは整理券発行機の製造を始め、バスの運賃管理において重要な役割を果たすことになります。1972年には循環式運賃箱を発売し、業界内で急速に地位を確立しました。

1979年に組織再編が行われ、バス機器部門は独立して小田原機器として運営されることとなりました。続いて、2008年にはサクサとの業務提携を実現し、更なる事業の発展を遂げることになりました。2009年にはJASDAQに上場し、成長企業としてのステータスを確立しました。この間、2017年には指月電機製作所から情報機器システム事業を譲り受けて事業を拡充し、2020年には新法人アズマの設立や既存法人の事業譲受を行うなど、新しい展開を続けています。

製品の特徴

小田原機器は、1965年の整理券発行機を初めとして多角的なバス関連機器を製造しています。特にバスカードシステムにおいては、1988年に両替方式とつり銭方式の運賃箱で市場に参入し、処理速度が業界最速の0.7秒であることから大きな注目を浴びました。また、既存設備に追加できるカードリーダーも開発されています。

その後、ICカードに対応したRX-FAN型運賃箱が市場に登場しました。この新しい技術の導入により、これまで小田原機器の製品を利用していなかった事業者が新規に導入する事例が増えたのです。一方、他社製品への切り替えも見られ、バス業界における競争の厳しさも反映されています。

2020年には、みちのりホールディングスやビザ・ワールドワイド・ジャパンと連携し、バス用のキャッシュレス運賃収受対応タブレット端末「SELF」を初めて開発しました。この端末は、Visaのタッチ決済やPayPay、Alipayなど、多様な決済方法に対応しており、2020年7月には茨城交通での導入が開始されました。

鉄道車両向けの活動

さらに、小田原機器は鉄道車両向けの運賃箱も数多く製造しています。群馬県の上信電鉄との取引もあり、同社が1996年から導入したワンマン運転に伴い運賃箱を供給しました。これにより、鉄道業界における信頼も厚くなりました。2005年には、同社の高崎駅において自動券売機や自動精算機の製造も行い、幅広いニーズに応えています。

このように、株式会社小田原機器はバス運賃システムの革新を通じて、公共交通の円滑な運営に貢献し続けています。

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