小発動艇

小発動艇について

小発動艇（しょうはつどうてい）は、1920年代中期から1930年代初期にかけて日本で開発された上陸用舟艇です。正式には大日本帝国陸軍に所属し、通称として「小発（しょうはつ）」とも呼ばれています。この舟艇は、陸軍技術協力のもとに海軍でも使用され、特に運貨船としての役割を持っていました。

開発背景

第一次世界大戦の終了を受けて、新たな戦術や技術の必要性が高まりました。特に、ガリポリ上陸作戦から得た教訓や、日本が島国である地理的条件、在フィリピンのアメリカ軍を仮想敵国とする大正12年の国防方針が影響を与えました。その結果、陸軍は他国よりも早く上陸戦の重要性を認識し、軍や物資の輸送を担当する陸軍運輸部を中心に、上陸用舟艇の開発に着手することになりました。

当初は従来の艀を機動化する方向で進められましたが、演習での結果が期待に応えるものではなかったため、小発動艇とその派生としての汎用大発動艇の新規開発へと転換しました。1925年に開発が始まり、1927年には小発が正式に採用されました。

特徴と性能

小発動艇のシリーズには、A型からC型までの生産型がありますが、中でも1931年に登場したC型が主に量産されました。これらの舟艇は装甲こそ施されていないものの、全鋼製のため一定の防弾性能を持っていました。また、艇首には機関銃を装備することができ、積載能力も高い点が特徴です。

また、推進部分にはしっかりとした設計が施され、海底の砂や泥に触れても壊れにくい螺旋形状のプロペラが特徴です。発動機は当初はガソリンエンジンでしたが、後により効率的なディーゼルエンジンに変更され、より高性能化が図られました。

使用と運用

この小発動艇は、第二次世界大戦の初期にかけてさまざまな戦場で活躍をしましたが、次第に大発動艇に取って代わられていきました。特に、大発はより荷物や火砲を搭載できることで、その汎用性が評価され、1943年には小発の生産が中止されました。それでもなお、機動艇の搭載用などとして使用され続けました。海軍では、松型駆逐艦の装載艇としても利用されています。

派生型と展開

小発動艇には、特種発動艇なる派生型も存在し、これは指揮官が前線での攻撃を受けにくいよう防弾鋼板が用いられています。この特種型の外形は通常型と同じですが、防御力を高めるために工夫がされていました。少なくとも1932年6月には7隻が建造され、1942年3月時点では14隻が配備され、さらに31隻が建造中でした。特に、広東作戦においては通常型小発210隻に加え、特種発動艇4隻も実戦に投入されています。

運用の変化

当初、小発動艇を運用する兵科は工兵でありましたが、太平洋戦争が始まると、船舶運用の専門兵種である船舶兵が誕生し、その中の船舶工兵が主にこの舟艇を運用することになりました。小発動艇は、戦術が進化する中でも特有の役割を果たし続けましたが、戦局の変化に伴い、その運用形態は変わらざるを得ませんでした。

まとめ

小発動艇は、日本の陸軍において上陸作戦を成功させるために開発された重要な舟艇の一つです。その独自の特性や運用の歴史は、当時の戦争における戦術の一環を知る上で重要な要素となっています。

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