小禄御殿

小禄御殿について

小禄御殿（おろくうどぅん）は、琉球王国の歴史における重要な家系の一つであり、尚真王の長男・尚維衡と浦添王子朝満を祖とする琉球王族、すなわち第二尚氏の分家にあたります。琉球王国が栄えた時代の終焉を迎える直前、この家系は小禄間切（現在の那覇市小禄）を中心に按司地頭として権力を持ちました。

家系の歴史

小禄御殿の初代である1世・尚維衡は、多くの名門が立ち並ぶ琉球の歴史の中で特異な存在です。彼の息子である朝満は、王世子として期待されながらも、異母兄弟からの讒言により廃嫡されるという悲劇に見舞われました。このため、小禄御殿は本来の嫡流ではありながらも、分家となることを余儀なくされましたが、それでもなお、同家は琉球王国の中で数世代にわたり支配的な地位を維持しました。

輩出した重要人物

小禄御殿からは、国王である尚寧王を始め、4人の摂政や14人の三司官など、多くの重要人物が輩出されました。このように彼らは、琉球の政治において重要な役割を果たしました。特に尚寧王は、小禄御殿の名をさらに高め、その影響力を広めた存在です。

系譜の詳細

小禄御殿の流れを以下に示します。

1. 初代 (1世): 尚維衡・浦添王子朝満
2. 2世: 尚弘業・浦添王子朝喬
3. 3世: 尚懿王（与那城王子朝賢）
4. 4世: 尚寧王（朝賢長男）
5. 5世: 尚宏・大具志頭王子朝盛
6. 6世: 尚林・具志頭王子朝誠
7. 7世: 向擇善・具志頭按司朝智
8. 8世: 向世勳・具志頭按司朝弥
9. 9世: 向天爵・具志頭按司朝騎
10. 10世: 向廷極・具志頭按司朝良（朝騎長男）
11. 10世: 向廷尉・具志頭按司朝憲（朝騎四男）
12. 11世: 向光・具志頭按司朝經（朝良長男）
13. 12世: 尚容・宜野湾王子朝祥（尚穆王四男、朝憲の養子）
14. 13世: 向世昌・小禄按司朝恒（美里御殿一世、朝規の長男、朝祥の養子）
15. 14世: 向承芳・小禄按司朝睦（譜久山里之子、朝顕の長男、朝恒の養子）
16. 15世: 向鴻章・小禄朝亮

この系譜は、琉球王国の歴史の中でいかに小禄御殿が重要な役割を果たしてきたかを示唆しています。一族は長い間、思惑や争いの中で数多くの困難を乗り越え、名門としての地位を維持してきました。

参考文献

小禄御殿についての詳細な情報を知るためには、以下の文献が参考になります。

• - 沖縄県氏姓家系大辞典 編纂委員会『沖縄県氏姓家系大辞典』角川書店、1992年。
• - 宮里朝光（監修）、那覇出版社（編集）『沖縄門中大事典』、1998年。
• - 比嘉朝進『士族門中家譜』球陽出版、2005年。

このように、小禄御殿は悲劇的な起源を持ちながらも、琉球王国の歴史に名を刻み、多くの業績を残してきた名門なのです。

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