小野寺浩

はじめに

小野寺 浩（おのでら ゆたか）は、1944年（昭和19年）1月4日に宮城県で生まれた、日本の著名なVFXプロデューサーおよびオプチカル合成エンジニアです。特撮映画やテレビドラマの映像表現において、その技術と経験を活かし、長年にわたり重要な役割を担ってきました。

来歴

小野寺氏の映像業界でのキャリアは、1962年9月に東宝へアルバイトとして参加したことから始まりました。これは、氏の兄と、当時東宝のカメラマンであった有川貞昌の妹が結婚したという縁によるもので、有川氏からの誘いがきっかけでした。当初は撮影部を志望していましたが、欠員がなかったため、特殊技術課への配属が決定します。そこで氏が担当することになったのは、室内班におけるオプチカル合成作業でした。

アルバイト開始当初は、3ヶ月後の正社員登用が示唆されていましたが、当時の東宝社内における労使紛争（東宝争議）の影響を受け、正規雇用はすぐに実現しませんでした。このため、円谷プロダクションやキヌタラボラトリーといった他の映像関連会社で、形式的ながら社員として籍を置く期間を経ることになります。しかし、特撮の神様と称される円谷英二が人事部に直接働きかけた結果、氏は東宝との間で技術契約を結ぶこととなり、再び東宝の現場に携わることになりました。技術契約者となった後、映画『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』（1967年公開）より、本格的に合成作業の担当としてクレジットされるようになります。

東宝で特撮合成の主要な担い手の一人として活躍していましたが、1970年9月には日本エフェクトセンターへ移籍します。東宝を離れる決断をした理由について、氏は当時使用していたオプチカル・プリンターのカメラにブレが生じていたにもかかわらず、会社がその修理や改善に消極的であったことを挙げています。この移籍後も、氏の合成技術者、そして後にはVFXプロデューサーとしての活動は続き、数多くの特撮映画やテレビドラマの映像表現を支え続けました。

主な参加作品

小野寺浩氏が合成や視覚効果、プロデュースなどで参加した主な作品は以下の通りです。

映画

1962年 - 忠臣蔵 花の巻・雪の巻
1966年 - フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ（光学撮影）
1967年 - 怪獣島の決戦 ゴジラの息子
1968年 - 連合艦隊司令長官 山本五十六（光学撮影）
1970年 - ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣（光学撮影）
1978年 - 宇宙からのメッセージ
1994年 - ノストラダムス戦慄の啓示（視覚効果）
1996年 - モスラ（特殊視覚効果プロデュース）
1997年 - モスラ2 海底の大決戦（特殊視覚効果プロデュース）
1998年 - アンドロメディア（VFXスタッフ）
1998年 - モスラ3 キングギドラ来襲（特殊視覚効果プロデュース）
1999年 - ゴジラ2000 ミレニアム（ビジュアルエフェクトスーパーバイザー）
2000年 - ゴジラ×メガギラス G消滅作戦（ビジュアルエフェクトスーパーバイザー）
2004年 - ゴジラ FINAL WARS（プロダクション･プロデューサー）

テレビ

1971年 - ミラーマン
1996年 - ウルトラマンティガ（テクニカルアドバイザー）

これらの作品を通して、小野寺氏は日本の特撮映像の進化に貢献し、その高度な合成技術と豊富な経験は、後進のクリエイターたちにも影響を与えています。

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