小野隆助

小野隆助：幕末維新を駆け抜けた福岡の志士

小野隆助は、天保10年（1839年）に生まれ、大正12年（1923年）に没した、幕末から明治にかけての激動の時代を生きた人物です。旧姓を三木といい、武士、政治家として多岐にわたる活躍をしました。

生い立ちと尊王思想

小野隆助は、太宰府天満宮の社家である小野加賀家に生まれました。父は小野氏伸、伯父は勤王家として知られる真木保臣であり、幼少の頃から和漢の学問と尊王の思想を深く学びました。小野家は、三条実美ら五卿が京都から逃れてきた際、彼らの滞在場所となった延寿王院に隣接していたため、警護の役割も担いました。この縁から、小野隆助は尊王攘夷運動に関わるようになります。

討幕運動と戊辰戦争

幕末期には、神官、僧侶、農民らで組織された討幕軍「勇敢隊」に参謀として参加しました。この際、三木五六郎と変名を用いています。戊辰戦争では、新政府軍の参謀として各地を転戦し、その功績が認められ、筑前福岡藩士に取り立てられました。また、三条実美の密使としても活動するなど、新政府樹立に大きく貢献しました。

明治維新後の活躍

明治維新後、小野隆助は福岡藩の鎮撫隊長として、「筑前竹槍一揆」や佐賀の乱といった農民反乱の鎮圧に尽力しました。その後、太宰府天満宮の神官、筑紫中学校の校長、第十七銀行の取締役、筑紫、那珂、宗像などの郡長を歴任するなど、多方面で活躍しました。

1890年（明治23年）には、第1回[[衆議院議員総選挙]]で福岡県第二区から出馬し、衆議院議員に初当選を果たしました。その後、第2回、第5回総選挙でも当選し、通算3期務めました。政治家としては玄洋社に所属し、頭山満の強い勧めを受けて議員になったと伝えられています。

1898年（明治31年）には香川県知事に就任しましたが、同年末に依願免本官となり退官しています。頭山満は小野隆助を「筑前西郷」と評したといわれており、人望が厚かったことがうかがえます。

文化人としての側面

小野隆助は、政治家としてだけでなく、文化人としても知られています。福陵新報（後の九州日報）設立の際には、頭山満からの要請に応じ資金援助を行いました。また、日清戦争後には、清国北洋艦隊の旗艦「定遠」の部材を使って自邸に「定遠館」を建て、現在も太宰府天満宮の境内に残っています。

小野隆助は、親族として、久留米水天宮の宮司であった真木保臣を父方の長兄に持ち、養嗣子には法務官、福岡県議、福岡市議を務めた小野隆太郎がいます。小野隆太郎は、寺尾寿の末弟としても知られています。

著書には『筑紫史談 第12集』があり、その中で『太宰府神社と黒田如水公との関係』という論考を発表しています。

まとめ

小野隆助は、幕末の動乱期から明治の発展期にかけて、武士、政治家、教育者として幅広い分野で活躍し、その生涯を通して、地域社会の発展に尽力しました。尊王思想を抱き、激動の時代を駆け抜けた人物として、後世に語り継がれるべき存在です。

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