尻矢 (給油艦)

尻矢（しりや）

尻矢は日本海軍の給油艦として、特にミッドウェー作戦に関与し、艦歴には多くのドラマがあります。本艦は、知床型の6番艦であり、艦名は青森県の尻矢埼に由来しています。

艦歴の概要

尻矢は1918年、大正7年度の八六艦隊案で計画され、1922年2月8日に横浜船渠で完成し、横須賀鎮守府籍となりました。初めは艦名が「野母」とされていましたが、最終的に尻矢となりました。平時には、ジカシに重油の輸送を行い、その重要性が増していくことになります。

1941年10月15日には連合艦隊に編入され、11月27日に第七駆逐隊（小西要人大佐）の駆逐艦潮と漣に対して補給任務に出撃。この任務では、駆逐隊がミッドウェー島砲撃の支援として行動し、尻矢はその補給を支えるために常に先回りして会合点へ向かう役割を果たしました。12月には洋上での補給を行い、最終的には帰投する第七駆逐隊との再合流も果たしましたが、その後の補給計画は潜水艦の動向により中止を余儀なくされました。

その後、1942年1月20日に尻矢は北方に進出し、大湊、釧路、厚岸で特設監視艇への補給任務に追われ、5月には舵の故障が発生、軽巡洋艦「多摩」に曳航される事態となりました。

6月から8月にかけて函館船渠での修理を受けた後、9月からはトラックへの輸送任務、10月には昭南（シンガポール）への任務も担当しました。1943年の中頃までバリクパパンやスラバヤ方向での輸送任務を行い、横須賀に帰港した後は再び輸送船団へ参加します。

9月20日、尻矢は臨時B船団に加入して馬公を出港しましたが、翌日、アメリカの潜水艦トリガーによる攻撃を受け、最初の魚雷攻撃で大爆発が起き、沈没しました。雷撃時、駆逐艦朝顔の艦長は閃光を目撃しましたが、それが雷だと判断し、救援活動を実施するまで尻矢の沈没を知ることはありませんでした。最後の補給任務を終えた尻矢は、その役目を全うすることなく海に沈む運命を辿りました。

尻矢は1943年12月1日に除籍され、その歴史は数多くの困難に満ちたものでしたが、日本海軍の重要な役割を果たした艦船としての名を残しています。

公試成績

尻矢の艦長には多くの有名な海軍士官が就任しており、特務艦長としての田岡勝太郎から始まり、様々な艦長が歴代にわたり艦を指揮していました。その数多くの艦長たちによって、尻矢は戦争の中で様々な任務を遂行し続けました。

時代の要請に応じて、尻矢は日本海軍の一翼を担い、戦闘の激化する状況の中で、数々の困難に直面しながら与えられた役割を全うした艦でした。

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