尼子再興軍の雲州侵攻

尼子再興軍の雲州侵攻

1569年（永禄12年）8月、尼子氏の再興を目指す軍勢が、出雲国奪還を目指し、但馬国から海を渡り島根半島に上陸、毛利氏から真山城を奪取した戦いです。

戦いまでの経緯

毛利氏の台頭と尼子氏の滅亡

16世紀前半、中国地方では大内氏と尼子氏が覇権を争っていましたが、1551年の大寧寺の変を契機に、毛利氏が台頭します。毛利元就は、1555年の厳島の戦いで陶晴賢を破り、1557年には大内氏を滅ぼし、中国地方での勢力を拡大しました。1562年には、尼子氏の石見国の拠点である山吹城を攻略し、石見銀山を掌握します。

一方の尼子氏は、大寧寺の変以降、石見方面へ勢力を伸ばしましたが、1561年に当主・尼子晴久が急死すると、勢力は衰退。1562年中頃には、出雲国と隠岐国、西伯耆の一部を残すのみとなりました。1562年、毛利氏は出雲へ侵攻を開始し、尼子氏の居城である月山富田城を包囲。1567年、尼子義久は毛利氏に降伏し、尼子氏は一時的に滅亡しました。

尼子勝久の擁立

尼子氏滅亡後、山中幸盛ら旧臣は尼子氏再興を目指し、京で僧となっていた尼子勝久を還俗させ、大将として擁立しました。勝久は、尼子新宮党の一族で、尼子晴久による粛清から逃れ、僧となっていた人物です。幸盛らは各地の尼子遺臣を集結させ、再興の機会を伺いました。

毛利氏の九州出兵

毛利氏は、大内氏、尼子氏を滅ぼし、中国地方をほぼ手中に収めると、次に北九州の大友氏を討伐目標としました。両氏は以前より門司城を巡り争っていましたが、1564年に和睦。しかし1565年、大友氏が毛利方の国人を攻撃したことで緊張が高まりました。1568年、毛利氏は九州へ出兵し、大友氏との全面戦争に突入しました。毛利軍は立花城を攻略しましたが、大友軍は撤退せず、戦いは長期化しました。

戦いの経過

尼子再興軍の挙兵

この毛利氏と大友氏の戦いは、出雲に伝わります。出雲の神魂神社の社家一族・秋上幸益は、この機を捉えて尼子氏再興の好機と考え、京へ上り、尼子勝久、山中幸盛らに出雲侵攻を勧めます。1569年、勝久率いる尼子再興軍は、但馬国から隠岐国へ渡り、出雲に向けて挙兵します。この時、尼子再興軍を支援したのは山名祐豊でした。山名氏は、毛利氏に領土を奪われていたため、尼子氏と手を結んだと考えられます。

尼子再興軍の雲州上陸、真山城の戦い

1569年8月6日、尼子再興軍は、隠岐国から島根半島に上陸。尼子家再興の檄を飛ばすと、旧臣らが集結し、5日以内に3,000余りの軍勢となりました。尼子再興軍は、島根半島の重要拠点である真山城を攻略目標とし進軍。守備していた毛利方の多賀元龍は敗れ、真山城を尼子再興軍は奪取しました。

戦後の影響

真山城を奪取した尼子再興軍は、宍道湖北岸に末次城を築き、そこを拠点としました。月山富田城の周囲に多くの砦を築き、毛利氏方の城を攻略するなど勢力を拡大しました。7月中旬には、月山富田城攻めを開始しました。

一方、毛利氏は大友氏との戦いが長引き、軍を動かすことができずにいました。1569年9月頃には、出雲国は尼子再興軍が支配する状態となり、11月には大内輝弘が周防山口を襲撃する事件も発生。これにより毛利氏は最大の危機を迎えることになり、毛利元就は、北九州からの撤退を決定。毛利軍は門司城を残し、北九州から撤退しました。

この結果、毛利氏の北九州への侵攻は失敗に終わり、大友氏は勢力を拡大しました。

尼子再興軍の参戦武将

当初より参戦した武将

尼子勝久（大将）
山中幸盛

出雲で参戦した武将

* 秋上幸益

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