尾上松緑 (4代目)

四代目 尾上松緑：伝統と革新を体現する歌舞伎役者

四代目 尾上松緑（1975年2月5日生まれ）は、歌舞伎役者として、そして日本舞踊藤間流勘右衛門派の六世家元としての顔を持つ、多才な人物です。屋号は音羽屋、定紋は四ツ輪に抱き柏。

初期の苦難と飛躍

初代尾上辰之助の長男として生まれた松緑は、1980年に初お目見得、翌年には二代目尾上左近を襲名し初舞台を踏みます。しかし、12歳で父を、14歳で祖父を亡くすという苦難に見舞われました。その後は七代目尾上菊五郎に師事し、芸の道を歩みます。

1991年には二代目尾上辰之助を襲名。2000年には歌舞伎座『源氏物語』の頭中将で当たり役を得て、七代目市川新之助（現・十三代目團十郎）、五代目尾上菊之助と共に「平成の三之助」と呼ばれ、人気を博しました。同年にはNHK大河ドラマ『葵 徳川三代』に徳川家光役で出演しますが、以降は舞台に専念しています。

四代目 尾上松緑襲名と現在

2002年、歌舞伎座にて四代目尾上松緑を襲名。『勧進帳』の武蔵坊弁慶や『倭仮名在業系図』の奴蘭平などを演じ、その才能を発揮しています。

多岐にわたる才能と趣味

松緑は、歌舞伎の舞台だけでなく、日本舞踊の家元としても活動しています。また、映画、時代劇、漫才、コント、アニメ、音楽鑑賞、読書、漫画、プロレスなど、多岐にわたる趣味を持ちます。ヘヴィメタル好きとしても知られ、音楽雑誌で対談したこともあるほどです。過去にはオールナイトニッポンのDJを務めたこともあり、その幅広い知識とユーモアでファンを魅了しました。

家族と私生活

2001年に元宝塚歌劇団雪組の珠希かほと結婚し、一男一女をもうけましたが、2016年に離婚。長男は三代目尾上左近を襲名し、歌舞伎役者として舞台に立っています。

主な受賞歴

1985年 国立劇場特別賞（『牧の方』源実朝）
1987年 松竹社長賞優秀賞（『船弁慶』源義経）
1989年 国立劇場奨励賞（『外郎売』外郎売）
1995年 歌舞伎座賞（『義経千本桜』狐忠信・主馬小金吾）
1998年 眞山青果賞新人賞（『元禄忠臣蔵・大石最後の一日』細川内記）
2010年 花柳壽應賞新人賞
2014年 松尾芸能賞優秀賞
2021年 芸術選奨文部科学大臣新人賞

主な出演作

『倭仮名在業系図』奴蘭平
『妹背山婦女庭訓』大判事清澄、漁師鱶七
『祇園祭礼信仰記』松永大膳久秀
『時今也桔梗旗揚』武智日向守光秀
『慶安太平記』丸橋忠弥
『三人吉三巴白浪』和尚吉三
『梅雨小袖昔八丈』髪結新三
『新皿屋舗月雨暈』魚屋宗五郎
『暗闇の丑松』暗闇の丑松
『名月八幡祭』縮屋新助
『土蜘』叡山の僧智籌 実ハ 土蜘の精
『走れメロス』メロス
『疾風のごとく』牛尾台助
『夏の夜の夢』妖精パック
* 大河ドラマ『葵 徳川三代』徳川家光

四代目尾上松緑は、伝統を守りながらも常に新しい挑戦を続ける、現代歌舞伎界を代表する役者の一人です。その才能と情熱は、これからも多くの観客を魅了し続けることでしょう。

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