尾崎晋也
尾崎晋也は、1959年1月28日に現在の鹿児島市にあたる谷山市で生まれた日本の指揮者である。
現在、彼はルーマニアを中心に精力的な活動を展開しており、ルーマニア国立トゥルグ・ムレシュ交響楽団の常任指揮者兼芸術監督を務めている。また、ルーマニア国立ディヌ・リパッティ交響楽団（サツ・マーレ市）でも常任指揮者のポストに就き、さらにトランシルバニア室内管弦楽団の音楽監督も兼任するなど、ルーマニア国内で複数の主要な楽団を率いている。
幼少期にあたる4歳でピアノを始めた。音楽の道を志し、桐朋学園大学に進学して指揮を専攻。ここでは小澤征爾、秋山和慶、黒岩英臣、森正といった日本を代表する指揮者たちから指導を受けた。大学卒業後は活動の場を海外に移し、ヨーロッパ各地やアメリカでさらなる研鑽を重ねた。この海外での学びの期間には、ジャン・フルネやオットー・ウエルナー・ミューラーにも師事している。研鑽を終えた後、アメリカのペンシルベニア州で指揮者としての活動を開始した。
1992年、ルーマニアで開催されたディヌ・ニクレスク国際指揮コンクールで入賞を果たしたことが、その後のルーマニアとの深い関わりの契機となった。これ以来、彼はヨーロッパ、アメリカ、南米、そして日本の各地で指揮活動を展開し、国際的な評価を確立していく。
特にルーマニアでの活動は特筆される。1994年からはルーマニア国立トゥルグ・ムレシュ交響楽団の常任指揮者に就任し、当時の楽団監督であり作曲家でもあったボルディザール・チーキーから大きな影響を受けた。1999年には同楽団の音楽監督にも就任し、楽団の運営や演奏活動の中心を担うようになる。同年にはトランシルバニア室内管弦楽団の音楽監督にも就任するなど、ルーマニアの音楽界における要人としての地位を不動のものとした。
長年にわたる国際的な活動、特にルーマニアとの文化交流への貢献は高く評価されている。日本の外務省が制作する広報ビデオに出演したり、各国の日本大使館でその活動が紹介されたりしている。在日ルーマニア大使館からは「文化交流功労賞」を授与され、活動の拠点であるトゥルグ・ムレシュ市からは「名誉市民」の称号が贈られている。
2005年1月には、ルーマニア大統領から芸術文化勲章（コマンドール）を受章するという栄誉に浴した。また、2014年には日本国より外務大臣表彰を受け、同年には出身地の鹿児島県に関連する南日本文化賞特別賞や、ルーマニアのムレシュ県から県民栄誉賞「ALAE」を受賞している。これらの受賞は、彼の音楽的功績と文化交流への貢献が国内外で広く認められていることを示している。
2005年10月から11月にかけて、スペイン各地で指揮を行った際には大きな成功を収めた。特にバルセロナのラウディトリにおけるコンサートでは、終演後に観客総立ちのスタンディングオベーションを受けるなど、大きな話題を呼んだ。
また、ヨーロッパを代表するクラシック音楽専門テレビ局であるフランスの「メッツォ」にも出演。トランシルヴァニア地方の音楽や、トゥルグ・ムレシュ交響楽団との活動が取材され、その演奏と共に世界に向けて放映された。
録音においては、トランシルバニア室内管弦楽団との共演によるCD「トランシルバニアからの贈り物」がある。このアルバムでは日本ではあまり知られていないルーマニアの楽曲を紹介し、音楽専門誌「レコード芸術」で推薦盤となるなど、高い評価を得ている。
さらに、若くして亡くなったピアニスト、カール・フィルチュ（現在のルーマニア領出身）の研究にも取り組み、ピアニスト萩原千代の演奏によるCD「カール・フィルチュの世界」をプロデュースした。このCDは2017年4月にビルボード・ジャパン・クラシック部門で売り上げ第1位を記録している。
指揮活動に加えて、尾崎氏は多岐にわたる活動を行っている。東京では自身がプロデュースするコンサートシリーズ「尾崎晋也プロデュース クラシック＆トークLIVE」を開催し、各界のゲストを招いてユニークな音楽会を提供している。
豊富な経験と語学力を活かし、講演活動も積極的に行っている。2002年4月にはオランダの経済シンポジウムに招聘され講演したほか、国際的な講演組織TEDxでも英語と日本語で講演（TEDxTargu Mures, TEDxKagoshima）を行っている。出身校である鹿児島県立鹿児島中央高等学校の創立50周年記念講演会にも招かれている。
エッセイストとしても知られ、出身地の南日本新聞ではエッセイ「指揮棒の休憩」を2003年6月から2014年10月までの11年間、150回にわたり連載した。そのエッセイをまとめた「笑うマエストロ（国立交響楽団の表と裏）」が2014年にさくら舎から出版されている。現在も鹿児島のタウン情報誌「LEAP」でエッセイ「かごしま生まれのジャジャジャジャーン」を連載中である。
後進の指導にも熱心である。1989年から2000年にかけては、アメリカのチェヒー・サマー・スクール・オブ・ミュージックでオーケストラを指導し、青少年の音楽教育に携わった。出身地である鹿児島のMBCユースオーケストラでは常任指揮者を務め、毎夏開催されるコンサートで若手音楽家たちを指導している。また、ルーマニアのトゥルグ・ムレシュにある音楽学校でも指導を行っている。
熊本ルーマニア協会の相談役として、熊本ルーマニア奨学金の設立に貢献した。この奨学金は毎年2名の学生に授与されており、尾崎氏自身が現地の学生を選考し、直接手渡している。
出身地である鹿児島県からは、県のPRを目的とした「薩摩大使」に委嘱されている。家族には、ジャズサックス奏者の尾崎佳奈子氏がいとこに、大阪音楽大学名誉教授の橋口武仁氏がおじにあたる。
現在の活動
現在、彼はルーマニアを中心に精力的な活動を展開しており、ルーマニア国立トゥルグ・ムレシュ交響楽団の常任指揮者兼芸術監督を務めている。また、ルーマニア国立ディヌ・リパッティ交響楽団（サツ・マーレ市）でも常任指揮者のポストに就き、さらにトランシルバニア室内管弦楽団の音楽監督も兼任するなど、ルーマニア国内で複数の主要な楽団を率いている。
音楽教育と初期のキャリア
幼少期にあたる4歳でピアノを始めた。音楽の道を志し、桐朋学園大学に進学して指揮を専攻。ここでは小澤征爾、秋山和慶、黒岩英臣、森正といった日本を代表する指揮者たちから指導を受けた。大学卒業後は活動の場を海外に移し、ヨーロッパ各地やアメリカでさらなる研鑽を重ねた。この海外での学びの期間には、ジャン・フルネやオットー・ウエルナー・ミューラーにも師事している。研鑽を終えた後、アメリカのペンシルベニア州で指揮者としての活動を開始した。
国際的な活躍とルーマニアでの基盤
1992年、ルーマニアで開催されたディヌ・ニクレスク国際指揮コンクールで入賞を果たしたことが、その後のルーマニアとの深い関わりの契機となった。これ以来、彼はヨーロッパ、アメリカ、南米、そして日本の各地で指揮活動を展開し、国際的な評価を確立していく。
特にルーマニアでの活動は特筆される。1994年からはルーマニア国立トゥルグ・ムレシュ交響楽団の常任指揮者に就任し、当時の楽団監督であり作曲家でもあったボルディザール・チーキーから大きな影響を受けた。1999年には同楽団の音楽監督にも就任し、楽団の運営や演奏活動の中心を担うようになる。同年にはトランシルバニア室内管弦楽団の音楽監督にも就任するなど、ルーマニアの音楽界における要人としての地位を不動のものとした。
受賞と栄誉
長年にわたる国際的な活動、特にルーマニアとの文化交流への貢献は高く評価されている。日本の外務省が制作する広報ビデオに出演したり、各国の日本大使館でその活動が紹介されたりしている。在日ルーマニア大使館からは「文化交流功労賞」を授与され、活動の拠点であるトゥルグ・ムレシュ市からは「名誉市民」の称号が贈られている。
2005年1月には、ルーマニア大統領から芸術文化勲章（コマンドール）を受章するという栄誉に浴した。また、2014年には日本国より外務大臣表彰を受け、同年には出身地の鹿児島県に関連する南日本文化賞特別賞や、ルーマニアのムレシュ県から県民栄誉賞「ALAE」を受賞している。これらの受賞は、彼の音楽的功績と文化交流への貢献が国内外で広く認められていることを示している。
特筆すべき公演とメディア露出
2005年10月から11月にかけて、スペイン各地で指揮を行った際には大きな成功を収めた。特にバルセロナのラウディトリにおけるコンサートでは、終演後に観客総立ちのスタンディングオベーションを受けるなど、大きな話題を呼んだ。
また、ヨーロッパを代表するクラシック音楽専門テレビ局であるフランスの「メッツォ」にも出演。トランシルヴァニア地方の音楽や、トゥルグ・ムレシュ交響楽団との活動が取材され、その演奏と共に世界に向けて放映された。
録音活動
録音においては、トランシルバニア室内管弦楽団との共演によるCD「トランシルバニアからの贈り物」がある。このアルバムでは日本ではあまり知られていないルーマニアの楽曲を紹介し、音楽専門誌「レコード芸術」で推薦盤となるなど、高い評価を得ている。
さらに、若くして亡くなったピアニスト、カール・フィルチュ（現在のルーマニア領出身）の研究にも取り組み、ピアニスト萩原千代の演奏によるCD「カール・フィルチュの世界」をプロデュースした。このCDは2017年4月にビルボード・ジャパン・クラシック部門で売り上げ第1位を記録している。
演奏活動以外での多角的な才能
指揮活動に加えて、尾崎氏は多岐にわたる活動を行っている。東京では自身がプロデュースするコンサートシリーズ「尾崎晋也プロデュース クラシック＆トークLIVE」を開催し、各界のゲストを招いてユニークな音楽会を提供している。
豊富な経験と語学力を活かし、講演活動も積極的に行っている。2002年4月にはオランダの経済シンポジウムに招聘され講演したほか、国際的な講演組織TEDxでも英語と日本語で講演（TEDxTargu Mures, TEDxKagoshima）を行っている。出身校である鹿児島県立鹿児島中央高等学校の創立50周年記念講演会にも招かれている。
エッセイストとしても知られ、出身地の南日本新聞ではエッセイ「指揮棒の休憩」を2003年6月から2014年10月までの11年間、150回にわたり連載した。そのエッセイをまとめた「笑うマエストロ（国立交響楽団の表と裏）」が2014年にさくら舎から出版されている。現在も鹿児島のタウン情報誌「LEAP」でエッセイ「かごしま生まれのジャジャジャジャーン」を連載中である。
教育活動と地域貢献
後進の指導にも熱心である。1989年から2000年にかけては、アメリカのチェヒー・サマー・スクール・オブ・ミュージックでオーケストラを指導し、青少年の音楽教育に携わった。出身地である鹿児島のMBCユースオーケストラでは常任指揮者を務め、毎夏開催されるコンサートで若手音楽家たちを指導している。また、ルーマニアのトゥルグ・ムレシュにある音楽学校でも指導を行っている。
熊本ルーマニア協会の相談役として、熊本ルーマニア奨学金の設立に貢献した。この奨学金は毎年2名の学生に授与されており、尾崎氏自身が現地の学生を選考し、直接手渡している。
出身地と家族
出身地である鹿児島県からは、県のPRを目的とした「薩摩大使」に委嘱されている。家族には、ジャズサックス奏者の尾崎佳奈子氏がいとこに、大阪音楽大学名誉教授の橋口武仁氏がおじにあたる。
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