山下埠頭駅

山下埠頭駅の歴史と役割

山下埠頭駅（やましたふとうえき）は、神奈川県横浜市中区にかつて存在した貨物専用駅です。この駅は日本国有鉄道（国鉄）の東海道本線貨物支線、通称山下埠頭線の一部として1965年7月1日に開業しました。

開業の経緯

1958年、横浜市は臨港鉄道の敷設を決定し、新港埠頭から山下埠頭へと線路を延長する計画が立てられました。新港橋梁から横浜税関までの区間では、既に線路が敷設されていましたが、その先の山下公園内を通る経路に関しては、景観を重視した反対運動が起きました。最終的には高架橋を用いて景観に配慮しながら工事が進められ、1961年に着工。開通までに数々の協議を経て、岡山での運営管理が神奈川臨海鉄道に委託され、開業を迎えました。

建設された線路は全長10,460メートルで、平面部と高架部があり、建設費は約8億4080万円でした。

利用状況の変遷

開業早々、山下埠頭駅は貨物駅としての役割を果たし始めましたが、1980年には特別なイベントとして横浜開港120周年を記念し、蒸気機関車による旅客列車運行が行われました。これがこの駅での初の旅客列車でしたが、転車台の設置がされていなかったため、往復はバック運転で行われました。以降も横浜の臨港線でのSL運行が行われましたが、山下埠頭駅での運行はこれが最後になりました。

駅の利用状況は1970年までは増加を続けましたが、その後は減少に転じました。商業や交通の変化、特にMM21計画の影響により、貨物輸送の重要性が低下し、国鉄のヤード方式貨物輸送が全面的に廃止されることとなります。

1986年11月1日、最終的に高島駅からの貨物運輸が廃止され、山下埠頭駅はその歴史に幕を下ろしました。

廃止後の変化

駅廃止後も、その跡地では1989年に横浜博覧会に合わせて短期間レトロ調気動車が走行しました。この際、山下公園内に新しい駅が設置されました。その後、高架橋の撤去工事が行われ、2000年には工事が完了しました。さらに、2002年には高架線が遊歩道として整備され、現在は「山下臨港線プロムナード」として利用されています。

駅の構造

山下埠頭駅は、倉庫間に分岐する線路が敷設されており、突堤内に3本の線路があったのが特徴的です。

結び

山下埠頭駅は、その短い歴史の中で横浜港の発展に寄与した重要な拠点でした。現在では、その痕跡が残る場所として新たな利用がされており、訪れる人々にとって歴史を感じられるスポットになっています。

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