山中造船

山中造船株式会社の概要と沿革

山中造船株式会社は、日本に拠点を置く造船メーカーで、主に内航貨物船の建造を手がける独立系の中堅企業です。1998年には、特許第2841171号を取得した「エラ型船」を開発しました。これは、貨物倉の容積を確保しながらも、燃費の効率を高め、航行速度を向上させる船体形状を特徴としています。

2001年には、自社が建造したRoRo貨物船「泉翔」が、日本造船学会にて「Ship of the Year '00」の栄誉を受けるなど、高い評価を得ています。また、2005年には楢崎造船と協力し、内航貨物船の建造に関する業務提携を結ぶなど、業界内での連携も図っています。さらには、2014年3月には今治市の大島に新工場を設立し、敷地面積が従来の約2.5倍に拡大したことで、生産能力が向上しました。これに伴い、本社も今治市波方町から移転し、新たなステージへと進化しています。

沿革の詳細

山中造船の歴史は、明治初期に愛媛県今治市波方町で造船業と海運業を創業したことから始まります。1903年には、浅海辰次が波止浜船渠の役員に就任し、しかしその後家業の造船業を廃業し、1920年には波止浜船渠の解散に伴って海運業に専念することになります。1943年には持船2隻が軍に徴用されており、翌年には北ボルネオ海で空襲を受け両隻が沈没したため、海運業からも撤退せざるを得ませんでした。

1951年5月、浅海慶利が木船および木鉄船の建造・修理業を再開し、1962年には499G/T型鋼船の建造に着手します。1967年には「山中造船株式会社」という名称で法人化し、さらなる発展を遂げることになります。1988年からはCADを導入し、コンピュータによる設計を進め、1993年にはNCプラズマ切断機を導入するなど、技術革新を進めていきました。

1994年には山中標準船の2タイプを開発・販売し、1997年にはさらに新しい標準船の開発にも取り組みました。そして、1998年には「エラ船型」の特許を取得することで、業界での競争力を強化しました。2000年4月には2号船台を3,030G/Tに拡張し、2010年11月には先進的な二酸化炭素低減化船を開発・販売するなど、環境への配慮も行っています。

主な建造船

山中造船が手掛けた主な船舶には、フェリー「ニューいぜな」が1998年に竣工し、2019年からはSTU48の劇場船として利用されています。また、同じく1998年に竣工したフェリー「フェリーざまみ」や、2000年には「泉翔」が竣工し、こちらも「シップ･オブ･ザ･イヤー00」を受賞しました。

このように、山中造船株式会社は長い歴史の中で屈指の技術を培い、現在も内航貨物船の建造を中心に、多岐にわたる船舶の設計・建造を行っており、持続可能な造船業を目指して着実にその歩みを進めています。

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