山内豊隆

山内豊隆（やまうち とよたか）

山内豊隆は、江戸時代前期から中期にかけての土佐藩の第6代藩主です。延宝元年（1673年）に、山内家の分家である武蔵国指扇山内家（新橋山内家）の当主・山内一俊の次男として生まれました。幼名は鳥居伊右衛門といい、当初は鳥居家の養子となっていました。

しかし、兄で第5代藩主の山内豊房に後継ぎがいなかったため、宝永3年（1706年）に兄が亡くなると、その養子となって土佐藩主の座を継承しました。藩主となった豊隆ですが、その治世は決して名君とは言えませんでした。

彼は、兄が登用した山内規重、谷秦山、深尾重方といった有能な家臣たちを次々と処罰しました。さらに、宝永4年（1707年）には宝永地震が発生し、土佐藩内で1,844人もの死者を出すという未曾有の災害に見舞われました。このため、豊隆は地震の救済活動に取り組みましたが、同時に藩政改革（宝永の改革）にも着手しました。しかし、その改革は効果を発揮せず、藩の財政は悪化の一途を辿ります。地震の翌年、震災対応のため老中土屋相模守の取り計らいで参勤交代を免除されますが、豊隆は襲封後初の参勤であることと母の病気見舞いを理由に、震災対応を「大方手合仕」として、宝永5年内に江戸へ参勤しました。この大地震からの復興が容易でない状況下でのこの行動は、土佐藩政史において名君が少ないとされる一因になったと評されています。

享保5年（1720年）4月14日、豊隆は江戸で亡くなりました。享年48歳。跡は次男の山内豊常が継ぎました。豊隆は先代からの重臣を次々と粛清したため、評判は非常に悪く、土佐藩随一の暗君と評されています。

系譜

父: 山内一俊（1649-1675）
母: 浄心院 - 鳥居忠春の娘
養父: 山内豊房（1672-1706）
正室: なし
側室: 円徳院 - 北川氏
生母不明の子女
男子：久米千代
次男：山内豊常（1711-1725）
男子：氏松
女子：整 - 上杉宗憲正室
* 女子：長 - 山内豊敷正室

山内豊隆の治世は、災害からの復興、藩政改革の失敗、重臣の粛清など、多くの課題が浮き彫りになった時代でした。彼の行動は後世に多くの議論を呼び、土佐藩の歴史において重要な人物として語り継がれています。

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