山内豊房

山内豊房（やまうち とよふさ）

山内豊房は、江戸時代中期の土佐藩第5代藩主です。寛文12年（1672年）に、土佐藩主山内氏の分家である武蔵国指扇山内家（新橋山内家）の当主、山内一俊の長男として誕生しました。

生い立ち

新橋山内家は、土佐藩第2代藩主・山内忠義の弟である山内一唯を祖とする家系で、一輝、一俊と続いています。武蔵国足立郡内に3000石を領する旗本でした。豊房は幼少の頃から武芸に秀で、歌や鞠にも親しむ多才な人物でした。

延宝3年（1675年）12月11日、父一俊が早世したため、わずか4歳で家督を継ぎました。しかし、本家の第4代藩主・山内豊昌に後継者がいなかったため、元禄2年（1689年）2月晦日に養子として迎えられました。この際、足立郡の領地は幕府に没収され、旗本山内家は断絶しました。また、領民に貸し付けていた1500両も回収できず、領民は安堵したと伝えられています。

同年3月15日、将軍徳川綱吉に御目見えし、同年12月27日には従四位下、民部大輔に叙任されました。元禄13年（1700年）11月12日、養父である豊昌の死去に伴い家督を継ぎ、土佐藩第5代藩主となりました。同年12月21日には侍従に任官しています。元禄15年（1700年）には、池田綱政の娘である菊姫と再婚しました。

藩主としての治世

藩主となった豊房は、度重なる風水害や城下町の火災に悩まされました。そのため、領民に対して救済措置を講じ、元禄16年（1703年）には藩財政の再建を目指し、藩札を発行しました。分家の山内規重を奉行に登用し、緊縮財政政策を推し進めました。また、谷秦山を登用して学問を奨励するなど、藩政改革に尽力しました。しかし、これらの努力は実を結ばず、藩財政の再建には至りませんでした。

宝永元年（1704年）7月2日には、一族の山内豊成に蔵米1000俵を支給し、旗本に取り立てています。

宝永3年（1706年）6月7日、豊房は35歳という若さで亡くなりました。跡は弟の山内豊隆が継ぎました。

系譜

父：山内一俊（1649-1675）
母：浄心院 - 鳥居忠春の娘
養父：山内豊昌（1641-1700）
正室：多代 - 国、高寿院、山内豊昌の娘
継室：菊姫 - 玉仙院、池田綱政の娘
養子：男子：山内豊隆（1673-1720） - 山内一俊の次男

まとめ

山内豊房は、分家から養子として藩主となったものの、若くして亡くなったため、藩政において目覚ましい成果を上げることはできませんでした。しかし、その治世においては、災害からの復興や藩財政の立て直しに尽力し、学問を奨励するなど、藩の発展に貢献しようとした姿勢が見られます。彼の短い生涯は、土佐藩の歴史において、一つの重要な側面を物語っています。

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