山口昌男

山口 昌男 （やまぐち まさお）

概要

山口昌男は1931年に生まれ、2013年に逝去した日本の教育者であり、文化人類学者として広く知られています。彼は正四位に叙され、瑞宝中綬章を受章し、東京外国語大学の名誉教授として、その学問の領域で多大な影響を与えました。また、文化功労者としても表彰されました。

経歴

山口昌男は北海道美幌町に生まれた9人兄弟の次男で、父親は職を転々としながらも菓子屋を営んでいました。彼は美幌尋常小学校を卒業後、旧制網走中学校を経て、1950年に新制網走高校を卒業しました。その後、青山学院大学文学部で学び、東京大学文学部に転校し、歴史学を専攻します。卒業後、麻布学園にて日本史を教える教師としてのキャリアをスタートしました。

1963年、彼はナイジェリアのイバダン大学で社会学の講師としての職に就きました。帰国後は東京外国語大学にてアジア・アフリカ言語文化研究所で教鞭を執り、いくつかの重要な著書を発表しました。特に、彼の「文化と狂気」や「道化の民族学」などの論文は、既存の学問に新たな視点をもたらし、議論を活性化しました。

1970年代には、構造主義や記号論を取り扱う月刊誌『現代思想』に寄稿し、学問の枠組みを揺るがす大きな影響を及ぼしました。1989年にはアジア・アフリカ言語文化研究所の所長に就任し、1994年には静岡県立大学に移りました。そこでも多くの著作を発表し、ロングセラーの作品が生まれました。

研究と著作

彼の研究の中で特に注目されるのは、「中心と周縁の理論」です。アジア・アフリカ・南アメリカでのフィールドワークを通じて、トリックスターや両性具有をテーマに据えた独特の視点を持った著作を発表しました。

山口氏はまた、漫画評論においても先駆的な存在として知られています。彼の著作は、文化人類学や、社会学的視点から現代日本史まで多岐にわたり、非常に広範な分野で執筆しました。「挫折の昭和史」や「敗者の精神史」などの著書は、近代日本ではあまり目を向けられなかったテーマに光をあて、その後の研究の基盤ともなりました。

家族と影響

彼の家庭も学術の分野に関与しており、NHK美術監督の山口類児は長男で、札幌大学女子短期大学部教授の山口拓夢は次男として、それぞれの分野で活躍しています。

最晩年

2008年、山口は脳梗塞を患い、その後療養生活を送ることとなりますが、2013年に肺炎が原因で東京都内の病院で亡くなりました。亡くなることで見えた彼の業績は、日本の文化と教育において重要な意義を持っています。彼の蔵書は札幌大学図書館に寄贈され、「山口文庫」として一般に開放されています。彼の著作や研究は、今もなお影響を与え続けています。

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