山口組五代目跡目問題

山口組五代目跡目問題

概要

山口組五代目跡目問題とは、山口組の五代目組長を誰が継承するかという問題を指し、1988年6月から1989年4月にかけて発生しました。この期間、山口組内では、四代目若頭の渡辺芳則を支持する派と、組長代行の中西一男を支持する派との対立が激化しました。

問題の発端

1988年6月、若頭補佐の宅見勝や本部長の岸本才三、二代目吉川組の野上哲男などが、渡辺芳則を五代目に担ごうと動き始めました。この動きに賛同したのは、徳島の心腹会会長や名古屋の益田組をはじめ、複数の組長やグループでした。その後、竹中組の竹中武は「どんな結果になっても協力はするが、自分が五代目と盃を交わすかは別の問題」と宣言するなど、緊張が高まりました。

渡辺芳則の擁立

渡辺は、意向を確認する形で、野上から「もし自分が五代目になった場合、発言しない」という言質を得ます。12月末には、彼が竹中武と会談し、組長の選出に向けた増員や中西との接触について意見を交わしました。この会談では、実家での親睦会の提案があり、渡辺もそれに賛同しました。

この時期、宅見組は他の組長たちに渡辺支持を納得させるために働きかけを続け、徐々に彼を五代目として受け入れる環境を整えていきました。

山一抗争の影響と最後の推挙

1989年1月27日の竹中正久の五回忌には、組の重鎮たちが集まりましたが、渡辺や宅見が欠席。数カ月後、2月には近松博好の呼びかけで渡辺と竹中武の会談が実現し、両者は五代目と若頭のポジションを確認し合います。その後、渡辺が支持を固めていく一方で、組内の情報媒体では彼に対する非難が広がっていきました。

3月27日には、執行部で五代目立候補の決定が行われ、4月初旬から渡辺と中西の間で調整が進む中、中西が立候補を撤回。結局、4月20日の緊急幹部会にて渡辺芳則が五代目山口組組長に正式に就任することが決定しました。

結論

このように、山口組五代目跡目問題は、組内の派閥争いや個々の思惑が複雑に絡み合った結果、最終的に渡辺芳則がその座に就くこととなりました。この問題は、山口組の内部での力関係や政策、信頼関係を浮き彫りにする重要な事件であり、以降の組織運営にも影響を与えるものでした。

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