山吹城
山吹城の概要と歴史
山吹城（やまぶきじょう）は、かつて石見国（現在の島根県大田市大森町）に存在した日本の山城で、その主な目的は石見銀山を防衛することでした。この城跡は、国の史跡「石見銀山遺跡」の一部となっています。
城の概要
山吹城は、標高414メートル、比高200メートルの要害山の山頂に築かれた城で、その規模は要害山全体に及んでいます。城の中心である主郭は南北に52メートル、東西に32メートルの広さを持ち、周囲には19本以上の畝状竪堀、土塁、空堀、さらには石垣が築かれ、防衛の要素を強化しています。主郭の北側には石垣が設けられており、集落側に見せるための構造物であったと考えられています。
また、城の南部には連続した竪堀が存在し、これは石見高橋氏の居城である高櫓城（出雲市）との類似性が指摘されています。このことから、城主が本城常光であった時期に構築された可能性があります。さらに、麓の集落にある西本寺には、山吹城の追手門（大手門）が移築されて現存していますが、これは江戸時代初期のものとされ、その由来は意外と知られていません。
歴史的背景
山吹城の歴史は延慶2年（1309年）頃に遡ります。この時期、石見銀山が発見され、その防衛のために周防・長門国の大内氏当主である大内弘幸によって築城されたと伝えられていますが、具体的な築城年は特定されていません。鎌倉時代の末期から南北朝時代初期には、山吹城の原型となる砦が存在していたと考えられています。
その後、大内義興の時代に博多の商人である神屋寿禎によって銀山の採掘方法が改良され、銀の生産量が大幅に増加しました。この頃に城が築かれたという説もあります。
1530年、国人領主の小笠原長隆が銀山を奪取し、3年後には大内氏が奪回しました。大内氏はその後、山吹城の防備を強化しましたが、1537年には出雲国の戦国大名である尼子経久に侵攻され、銀山が制圧されました。その後も、大内氏と尼子氏の間で激しい争奪戦が繰り広げられました。
1560年代の激動の中で、毛利元就が大内氏に対抗して銀山の争いに加わり、山吹城は様々な勢力の手に渡りました。最終的には、元就が城を手中に収め、その後大久保長安が城を改修し、銀精錬所を設置しました。しかし翌年には大森代官所に拠点を移したため、山吹城は廃城となりました。
この城跡は、平成19年（2007年）7月2日に石見銀山が世界遺産に登録された際に、構成資産の一つ「銀山柵内」に含まれています。このように、山吹城は日本の歴史における重要な存在であり、その遺跡は多くの人々に訪問され続けています。
参考資料
外部リンク
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