小笠原長胤

小笠原長胤（おがさわら ながたね）は、江戸時代前期の武士で、豊前国中津藩の第3代藩主です。忠脩系小笠原家の3代目にあたります。

寛文8年（1668年）に、初代藩主・小笠原長次の長男である長章の長男として江戸で生まれました。父・長章は病弱を理由に廃嫡されていたため、長胤は叔父にあたる長勝の養子となります。天和2年（1682年）から長勝の政務を代行し、長勝の死後、天和3年（1683年）に家督を継ぎました。

藩主となった長胤は、養父である長勝が行った悪政を正そうとしました。貞享3年（1686年）には大規模な治水工事を実施し、農業の発展に貢献しましたが、その費用が藩財政を圧迫しました。元禄2年（1689年）には、第5代将軍・徳川綱吉の奥詰となります。元禄4年（1691年）には家臣の半知借り上げを行い、弟の長宥に5000石を分与して旗本時枝領を創設しました。

しかし、次第に長胤自身も悪政を行うようになります。元禄6年（1693年）には譜代家臣の丸山将監ら26人を追放し、新参の家臣を重用するようになります。また、運上を増税するなどして贅沢を重ねました。縁戚である前橋藩主・酒井忠挙らはこれを諌めようとしましたが、最終的には諦めています。これらの悪政が幕府の耳に入り、元禄11年（1698年）に悪政と乱行を理由に改易され、小倉藩主・小笠原忠雄のもとに身柄を預けられました。

ただし、先祖である忠脩らの功績が考慮され、長胤の弟・長円が4万石に減封された上で家督を継ぐことが許されました。宝永6年（1709年）に配所にて42歳で亡くなっています。

系譜
父：小笠原長章（1637-1675）
母：水野忠職の娘
養父：小笠原長勝（1646-1682）
正室：緑英宗固大姉 - 小笠原長勝の娘
* 養子：小笠原長円（1676-1713） - 小笠原長章の五男

小笠原長胤は、藩政改革を志したものの、結果的に藩財政を悪化させ、悪政により改易された悲劇的な藩主として知られています。

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