山川建夫

山川建夫

1943年11月21日、東京都千駄ヶ谷に生まれる。ジャーナリスト、フリーアナウンサーとして多方面で活動している。慶應義塾大学法学部政治学科にて学士号を取得。

放送業界でのキャリアと社会活動

大学を卒業した翌年の1968年、フジテレビにアナウンサーとして入社。同期には逸見政孝、松倉悦郎、竹下典子、小林節子、山根佳代子といった面々が名を連ねる。入社後、約17年間にわたり同局のアナウンサーを務めた。在局中から、単なる番組進行役にとどまらない、社会に対する強い問題意識を持つ人物として知られていた。

特に注目されたのは、1970年に司会アシスタントとして出演していた朝の情報番組「小川宏ショー」での出来事である。当時、ベトナム戦争反対運動（ベ平連）に関与していた経緯もあり、他の番組でベトナム視察報告を行った女優の山口淑子（後の参議院議員）に対し、番組内で「わずか2週間の取材で戦争の実態が理解できるのか」といった趣旨の発言を行い、公然と批判した。この発言は大きな波紋を呼び、出演開始からわずか10ヶ月で同番組を降板する事態に至った。

また、社内においても積極的に活動を展開。労働組合を結成し、当時の経営陣（鹿内信隆氏による体制）に対し、経営方針を厳しく批判するといった姿勢を示した。こうした社内外での活動を経て、1985年にフジテレビを退社する運びとなった。

退社後の新しい生活と活動

フジテレビ退社後、山川氏はこれまでのテレビ局員としての生活とは一線を画す、新たな生き方を模索した。再婚した妻と娘と共に、キャンピング仕様に改造したワンボックスカーで全国を旅する生活を開始。北海道小樽市での1年半を含め、およそ2年半にわたる放浪の旅を続けた。

1987年、旅の終着点として千葉県市原市の農村に辿り着き、そこに定住することを決める。農地が付いた借家を月1万円という低家賃で借り受け、自ら田畑を耕し、野山を散策するといった自然に寄り添った暮らしを始めた。同時に、フリーアナウンサーとしての活動も継続。主にナレーションの分野で、様々なテレビ番組に出演するようになる。

また、講演活動も精力的に行っている。憲法改正に反対する立場を表明し、環境保護や自然と親しむ暮らしの大切さについて語るなど、アナウンサー時代からの社会的な関心を講演という形で発信し続けている。

1989年からは東京俳優生活協同組合に所属し、ナレーターや声優としての活動基盤を築いた。また、フジテレビが運営するお台場アナウンススクールで講師を務めるなど、後進の指導にもあたっている。

私生活と家族

最初の結婚相手は、フジテレビの同僚アナウンサーであった宮崎総子氏。二人の間には一女が誕生したが、後に離婚している。この女児は、宮崎氏の姉夫婦である女優の宮崎恭子氏と俳優の仲代達矢氏の養女となり、後に仲代奈緒として芸能界で活躍する運びとなった。

再婚相手との間にも娘がおり、この娘である山川咲氏は、後にウェディングプランナーとして広く知られる存在となっている。退社後の全国放浪や田舎暮らしは、この再婚した新たな家族と共に続けられたものである。

主な出演番組

フジテレビ時代

小川宏ショー（1970年4月 - 1971年1月）
3時のあなた

フリー転身後（ナレーションが中心）

小さな旅（NHK） - 手紙シリーズ 朗読
知ってるつもり?!（日本テレビ）
ステーションEYE（テレビ朝日）
報道特集（TBS）
爆報! THE フライデー（TBS） - 2015年2月20日放送回にて、同期の松倉悦郎氏、小林節子氏と共に顔出しで出演し、田舎暮らしの様子が紹介された。

著書・雑誌連載

雑誌『現代農業』（農山漁村文化協会） - 2006年3月号から同年7月号まで、「帰農物語―テレビ世界から田んぼ世界へ」を連載した。

アナウンサーとしての確かな技術を持ちながらも、時に社会派として、また自然に根差したライフスタイルの実践者として、多角的な側面を持つ人物である。

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