山形由美

（やまがたゆみ、1962年〈昭和37年〉5月17日 - ）は、日本のフルート奏者。尚美学園大学客員教授、フルートサロン「メゾン・デュ・リエール」主宰。東京都出身。

概要

英文学者である山形和美氏を父に持ち、東京で生まれた。幼少期から音感教育やピアノ、クラシック・バレエを習うなど、芸術的な素養を育む環境で育った。フルートとの決定的な出会いは14歳のクリスマスであり、その音色に強く惹かれたことが、後にプロのフルート奏者となる道を開く契機となった。

来歴

立教女学院中学校・高等学校在学中にフルートを始め、野口博司、小泉剛の両氏に師事した。その後、東京藝術大学音楽学部器楽科でフルートを専攻し、同大学を卒業。さらなる研鑽のため、渡英し、フルート界の巨匠サー・ジェームズ・ゴールウェイ氏に師事する機会を得た。彼女はゴールウェイ氏の数少ない弟子のひとりとして知られている。

1986年（昭和61年）にデビューを果たして以来、演奏活動と並行してメディアにも積極的に出演した。特に、1987年（昭和62年）10月から1991年（平成3年）3月にかけては、テレビ番組にレギュラー出演し、その認知度を高めた。

1992年（平成4年）に再びヨーロッパへ渡り、海外での演奏経験を積む。帰国後、1995年（平成7年）5月には「神戸クラシックエイド」に出演。ロリン・マゼール氏指揮、ピッツバーグ交響楽団との共演は3,000人の観客を魅了した。翌1996年（平成8年）にはデビュー10周年を迎え、全国17ヶ所でリサイタル・ツアーを開催するなど、精力的な活動を展開した。

1997年（平成9年）のリサイタルでは、オールバロック・プログラムに取り組み、音楽へのより深い探求を通じて新たな境地を開いた。2001年（平成13年）のデビュー15周年には、記念エッセイ集『フルート、天使の歌』（時事通信社）を発表。2002年（平成14年）にはイギリスでのリサイタルも成功させた。

2005年（平成17年）には、これまでの経験を結集した自身初のセルフ・プロデュース作品「Luce 〜ヴェネツィアの光と夢〜」をリリース。ヴェネツィア合奏団との共演でイタリアにて録音されたこのアルバムは、後にイタリアのレーベルからも発売された。同年7月には西オーストラリア州ワイン親善大使に任命されるなど、音楽以外の分野でも活動の幅を広げている。

デビュー20周年の2006年（平成18年）には、ヴェネツィア合奏団と共に日本とイタリアで記念ツアーを実施。2007年（平成19年）にはヴェネツィア室内合奏団のメンバーとのトリオツアーを開催した。2008年（平成20年）にはキングレコードから発売された過去の作品がデジタルリマスターで復刻されている。

2009年（平成21年）にもヴェネツィアのアーティストとのトリオツアーを行い、イマジン七夕コンサートでは4度目の総合司会を務めた。また、同年6月には「とちぎ未来大使・那須高原そよかぜの調べ広報官」に任命され、地域のPRにも貢献している。2010年（平成22年）はリサイタルに加え、様々なアーティストとのコラボレーションにも挑戦した。

2011年（平成23年）のデビュー25周年には、セルフプロデュース第2弾「Anthology 〜愛のアンソロジー〜」を発表し、自身初の楽譜集も出版した。

デビュー30周年にあたる2016年（平成28年）9月には、セルフプロデュース第3弾「Eternally 〜永遠のジゼル〜」をリリース。バレエ音楽とフルートを融合させたこの作品は、その音楽性が評価され、レコード芸術特選盤に選定された。これを記念した日仏でのツアーも成功を収めている。

2018年（平成30年）には、独自の企画「大人のためのトーク＆コンサート『由美の部屋』」をサントリーホールでスタートさせた。音楽とトークを組み合わせたこの企画は、その後も不定期に開催されている。

2019年（平成31年・令和元年）には、ピアノの菅野潤氏、三味線の五代目常磐津文字兵衛氏と共に「The Trio」を結成。同年、ヨーロッパ（バルセロナ、パリ、ザルツブルク）でのデビューリサイタルを行い、和洋の楽器による斬新なコラボレーションが大きな話題を呼んだ。また、この年には父である山形和美氏を亡くし、追悼の文章を寄稿している。

現在もフルート奏者としての活動を中心に、尚美学園大学客員教授として後進の指導にあたるほか、西オーストラリア州ワイン親善大使、栃木県の地域広報大使、家庭画報のビューティーアンバサダーなど、多岐にわたる分野で活躍している。

作品・著書

セルフプロデュース作品を含む多数のCDをリリースしており、自身初の楽譜集も出版している。また、著書としてエッセイ集などがある。

メディア出演

『七人のHOTめだま』（フジテレビ）や『連想ゲーム』（NHK総合）にレギュラー出演し、広く知られるようになったほか、単発のテレビ番組やラジオ番組、多数のCMにも出演している。

もう一度検索