山手隧道

山手隧道：歴史と技術が息づく横浜のトンネル

横浜市中区に位置する山手隧道は、元町・石川町方面と麦田町・本牧方面を結ぶ、横浜市道関内本牧線の一部を構成する道路トンネルです。このトンネルは、北行き（元町方面行き）の山手隧道と、南行き（本牧方面行き）の第二山手隧道という、二つのトンネルから成り立っています。

歴史

山手隧道は、その歴史を遡ると、1911年（明治44年）に横浜電気鉄道（後の横浜市電）によって建設された櫻道トンネル（後の本牧隧道、第二山手隧道）にたどり着きます。このトンネルは、元町停留所と桜道下停留所（後に麦田町停留所と改称）を結ぶ、全長215mの市電専用のトンネルでした。山手地区に建設された最初のトンネルであり、トンネルの前後区間は市電唯一の専用軌道区間でした。

1923年（大正12年）の関東大震災からの復興事業として、内務省復興局の設計、間組の施工により、市電トンネルの西側に並行して、新たなトンネルである山手隧道が建設されました。このトンネルは全長268mで、アーチ型の断面を持ち、当時の道路トンネルとしては日本最大級の幅員を誇りました。意匠は、同時期に麦田町側に建設された桜道橋と調和するように設計されました。山手隧道は、1927年（昭和2年）の歳末繁忙期に部分的に供用が開始され、翌1928年3月16日に開通式典が執り行われました。

その後、1972年に横浜市電が廃止された際、本牧隧道は第二山手隧道と名称を改め、1976年7月20日からは南行き一方通行の道路トンネルとなりました。これに伴い、従来の山手隧道は北行き一方通行に変更されました。

現在

山手隧道は、2001年（平成9年）8月に桜道橋とともに横浜市認定歴史的建造物として認定され、その歴史的価値が認められました。さらに、2015年度には、桜道橋、打越橋、西之橋、谷戸橋とともに、「元町・山手地区の震災復興施設群」として土木学会選奨土木遺産にも認定され、土木技術の遺産としての価値も高く評価されています。

山手隧道は、単なる交通インフラとしての役割だけでなく、関東大震災からの復興の象徴、そして横浜の歴史と文化を今に伝える重要な遺産として、その存在意義を輝かせ続けています。トンネルを通過する際には、その歴史的背景を思い起こし、その重要性を再認識することができるでしょう。

山手隧道の付近には、異国情緒あふれる山手地区の街並みが広がり、観光スポットとしても人気があります。歴史的建造物である山手隧道と、周辺の観光スポットを合わせて訪れることで、横浜の歴史と文化をより深く理解することができるでしょう。

まとめ

山手隧道は、横浜の歴史と技術が凝縮されたトンネルです。市電の歴史、関東大震災からの復興、そして土木技術の粋が詰まったこの場所は、横浜を訪れる人々にとって、見逃せないスポットの一つと言えるでしょう。

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