桜道橋

桜道橋は、神奈川県横浜市中区に架かる道路橋で、その歴史は関東大震災の復興事業にまで遡ります。1923年（大正12年）9月1日に発生したこの大震災からの復興を目指し、近接する山手隧道と共に建設が開始され、1928年に完成を迎えました。この橋は、山手の外国人地区に位置する都市基盤施設として、その意匠に特徴があります。

石張りの外観は、橋に風格を与え、本牧方面から関内地区へと人々を迎え入れるゲートのような役割を果たしています。桜道橋は単なる交通インフラではなく、都市の景観を形成する重要な要素として機能しました。その歴史的、文化的価値が評価され、2004年度には横浜市認定歴史的建造物に、さらに2015年度には山手隧道、打越橋、西之橋、谷戸橋とともに「元町・山手地区の震災復興施設群」として土木学会選奨土木遺産に認定されました。

桜道は、山手の丘陵地帯南側に位置し、中区麦田町の山手公園入口交差点で本牧通りから東に分岐します。そこから山手公園に沿って西へと向きを変え、本牧通り南行きの第二山手隧道、北行きの山手隧道、そしてJR根岸線を越えて地蔵坂上交差点に至り、丘の上を走る山手本通りへと接続します。この桜道のうち、北行きの山手隧道を越える橋が桜道橋です。

桜道の路面下には、明治10年代に設置された房州石造りの下水管が現在でも使用されています。これは、山手公園に残る近代下水道記念碑からもわかるように、この地域が近代都市インフラの整備に早くから取り組んでいたことを示しています。桜道は、麦田町から山手に登る一方通行路であり、交通の円滑化に貢献しています。桜道橋は、単なる橋梁としてだけでなく、歴史と文化が息づく場所として、横浜の都市景観に深く根付いています。その存在は、過去の災害からの復興の象徴であり、同時に現代の都市生活を支える重要なインフラとしての役割を果たしています。桜道橋は、その美しい外観と歴史的背景から、訪れる人々に静かな感動を与え続けています。

もう一度検索