山本芳明

山本芳明（1955年生まれ）は、日本近代文学研究者として著名であり、学習院大学で教鞭を執っています。彼の研究は、文学作品を経済史の視点から読み解くという、従来の文学研究にはない斬新なアプローチで知られています。

千葉県出身の山本氏は、1986年に東京大学大学院人文社会系研究科国語国文学専攻博士課程を単位取得退学後、学習院大学文学部で講師、助教授を経て、1998年に教授に就任しました。彼の研究は、単に文学作品の内容を分析するだけでなく、当時の社会経済状況や作者の経済状況が作品に与えた影響を考察することに重点を置いています。

特に注目されるのは、山本氏が2019年に『漱石の家計簿 お金で読み解く生活と作品』でやまなし文学賞を受賞したことです。この著作では、夏目漱石の家計簿を詳細に分析し、彼の生活や作品に潜む経済的な側面を明らかにしました。漱石の作品を、当時の物価や生活水準、そして漱石自身の経済状況と照らし合わせることで、新たな解釈の可能性を示唆しています。

山本氏の著書には、『文学者はつくられる』（ひつじ書房、2000年）や『カネと文学　日本近代文学の経済史』（新潮選書、2013年）などがあります。これらの著作では、文学作品が社会や経済の動向と密接に関わっていることを示し、文学研究に新たな視点を提供しています。

また、編著として『編年体大正文学全集 別巻(大正文学年表・年鑑)』（宗像和重共編、ゆまに書房、2003年）や『日本古典文学大系明治編 2 漢詩文集』（入谷仙介・揖斐高・宮崎修多・杉下元明共編、岩波書店、2004年）など、幅広い分野で研究活動を展開しています。

山本芳明氏の研究は、文学作品を単なる芸術作品として捉えるのではなく、社会や経済の文脈の中で理解することの重要性を示しています。彼の研究は、日本近代文学研究に新たな地平を拓いたと言えるでしょう。

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