山村良安

山村良安の生涯

山村良安（やまむら たかやす）は、1592年（文禄元年）に下総国網戸（現在の千葉県香取市付近）で、山村良勝の長男として誕生しました。父・良勝もまた武士であり、良安は武家の血筋を受け継ぎました。

1608年（慶長13年）、父・良勝が隠居したことに伴い、良安は家督を継承しました。この時、彼は江戸幕府の旗本である交代寄合となり、同時に木曽代官と福島関所の関守という重要な役職も担うことになりました。これらの役職は、彼が武士としての能力だけでなく、行政官としての手腕も備えていたことを示しています。

1614年（慶長19年）の大坂冬の陣では、徳川義直に従い、千村氏をはじめとする家臣団と共に天王寺口を守備しました。この戦いでの活躍は、彼の武勇を示すものであり、武士としての名声を高めることとなりました。共に戦った家臣団には、古畑、西尾、島崎、原、宮川、亀子、村井、遠山、沼田、武居、吉村、宮地、平野、上田、今井、野尻、向井といった人々がいました。彼らは良安の指揮下で、勇猛果敢に戦いました。

1610年（慶長15年）、良安は妻籠宿（現在の長野県南木曽町）において、六斎市（各月3日、8日、13日、18日、23日、28日）の開設を許可しました。これは、地域の経済活動を活性化させるためのものであり、彼の領民に対する配慮が窺えます。六斎市は、地域住民にとって重要な交易の場となり、経済的な発展に貢献しました。

1615年（元和元年）になると、木曽が尾張藩の所領に移管されたため、良安は徳川義直に仕えることになりました。彼は大年寄という重臣の地位に就き、引き続き木曽代官も務めることになりました。大年寄という役職は、藩政において重要な役割を担うものであり、良安の能力が非常に高く評価されていたことを物語っています。

1618年（元和4年）、良安は江戸での出仕中に、わずか27歳という若さで亡くなりました。彼の突然の死は、多くの人々を悲しませました。遺体は江戸白金の西照寺に葬られましたが、後年、西照寺が火災に見舞われたため、墓所が不明となってしまいました。そのため、仮の石碑と位牌が興禅寺に安置されることとなりました。

良安の死後、家督は一時的に父・良勝が再び継ぎましたが、良勝が再び出仕した後、弟の山村良豊が家督を継ぎました。このことから、山村家は良安の死後も、その血筋を絶やすことなく存続していきました。

山村良安の人物像

山村良安は、武士としての武勇だけでなく、行政官としての優れた手腕も持っていました。彼は、木曽代官や福島関所の関守として、地域の発展に尽力しました。また、妻籠宿での六斎市開設など、民衆の生活を豊かにするための政策も実施しました。彼の生涯は短かったものの、多くの功績を残し、後世に語り継がれています。

資料

堀田正敦 編「国立国会図書館デジタルコレクション 第627」『寛政重修諸家譜』
三百藩家臣人名事典4
* 山口村史　山口村誌　上巻〔第四章 近世〕三代　山村良安　七郎右衛門 p424 ～p425

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