山村良勝

山村良勝（やまむら よしかつ/たかかつ）

山村良勝は、戦国時代末期から江戸時代初期にかけての武将で、当初は木曾氏、後に徳川氏の家臣として活躍しました。信濃国妻籠城主であり、山村甚兵衛家の初代としても知られています。

生涯

永禄6年（1563年）、山村良候の子として生まれました。祖父の良利と父の良候は、当初木曾義昌の家臣でしたが、元亀3年（1572年）の武田信玄の西上作戦において、飛騨調略を成功させた功績により、信玄から美濃国恵那郡で3百貫、さらに千旦林村と茄子川村で3百貫を与えられました。

妻籠城の戦い

天正12年（1584年）、小牧・長久手の戦いが勃発すると、木曾義昌は羽柴秀吉に恭順しました。そのため、徳川家康は同年9月に菅沼定利、保科正直、諏訪頼忠らに妻籠城を攻めさせましたが、良勝はこれを撃退しました。

下総への移封と木曾氏の没落

その後、秀吉と家康の講和により、木曾義昌は家康の傘下に入りました。天正18年（1590年）、家康の関東移封に伴い、木曾義昌は下総国網戸（阿知戸）に移封され、芦戸城を築きました。良勝を含む木曾氏の重臣たちも移住し、芦戸城周辺に屋敷を構え、城下町の整備が進められました。

しかし、木曾の地は太閤蔵入地となり、尾張犬山城主の石川貞清が代官として支配しました。木曾義昌の没後、山村氏らはその子・木曾義利に仕えましたが、慶長5年（1600年）、木曾義利が不行跡により改易されると、山村氏、千村氏、馬場氏は浪人となり、下総国佐倉で暮らしました。

関ヶ原の戦いと木曽谷奪還

関ヶ原の戦いに先立ち、徳川家康は浪人となっていた山村良勝らを召し出し、木曾氏の旧領を与えることを約束し、木曽谷を石川貞清から奪還するよう命じました。良勝らは小山評定に参加し東軍に加わり、中山道の先導役を務めました。

良勝は木曽の遺臣たちに檄を飛ばし、弟の山村八郎右衛門や山村清兵衛も駆けつけました。慶長5年（1600年）8月、内応を利用して贄川の砦を突破し、木曽谷全域を奪還、妻籠城を修築しました。さらに家康の命により、大久保長安とともに東美濃を攻略し、苗木城や岩村城から西軍を追い出す戦功をあげました。なお、木曽谷奪還時、父の良候は西軍の石川貞清に犬山城に留め置かれていましたが、木曾衆の挙兵を聞き脱出し、良勝と再会を果たしました。

江戸幕府の旗本、尾張藩の重臣へ

戦後、良勝は山村宗家として美濃国を中心に4,600石を知行地として与えられ、父の良候には隠居料として1,300石が与えられました。木曽福島の山村代官屋敷を拠点に木曽全域の支配を任され、幕府管轄の福島関所の管理も行いました。また、江戸幕府の交代寄合となり、江戸と名古屋に屋敷を構えました。慶長7年（1602年）に父が死去し家督を継ぎ、慶長13年（1608年）に子の良安に家督を譲り隠居しました。

慶長18年（1613年）に大久保長安事件に関与したとして逮捕されましたが、後に許されています。慶長19年（1614年）と慶長20年（1615年）の大坂の陣には、徳川義直に従い出陣しました。

大坂の陣後、家康は良勝と千村良重を召し出し、木曽を尾張藩に加封することを伝えました。これにより、良勝は幕府の交代寄合ではなくなりましたが、千村氏、原氏、三尾氏とともに尾張藩の「木曾衆」と呼ばれる旗本的な立場となりました。

元和4年（1618年）、家督を譲っていた子の良安が死去したため、再び家督を継ぎ、尾張藩主の徳川義直に再出仕しました。その後、家督は次子の山村良豊に譲りました。

寛永11年（1634年）、72歳で死去しました。良勝の子孫は、山村甚兵衛家として代々尾張藩の重臣として続き、明治維新を迎えました。

関連項目

山村代官屋敷
木曾衆

脚注

堀田正敦 編『寛政重修諸家譜』国立国会図書館デジタルコレクション
南木曽町史　通史編

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