福島関所

福島関所の解説

福島関所は、江戸時代に中山道に設けられた関所の一つで、現在の長野県木曽郡木曽町福島に位置していました。木曽谷のほぼ中央に位置し、交通の要衝として重要な役割を果たしました。関所の最重要拠点として、東海道の今切関所や箱根関所と同等の扱いを受けていました。

福島関所の概要

諸国関所一覧表によると、福島関所は信濃国筑摩郡に所在し、管理者は尾張藩の木曽代官であった山村甚兵衛家が務めていました。関所の所在地は、木曽川に迫る根の井山の崖上という要害の地で、木曽谷を南北に往来する人々を監視する上で重要な場所でした。

福島関所の設置

福島関所の設置時期については諸説ありますが、慶長7年（1602年）から慶長9年（1604年）頃、またはそれ以前とする説があります。『心計記』によれば、当初は妻籠に口留番所が置かれていましたが、関ヶ原の戦い後の交通整備に伴い、福島に移転し、元和9年（1623年）に本格的な関所として機能し始めました。

福島関所の所在地

福島関所は、木曽谷のほぼ中央、駒ヶ岳の北支脈が木曽川に迫る崖上に位置し、木曽路を往来する人々を監視する上で最適な場所でした。

位置情報としては、北緯35度51分03秒、東経137度42分09秒です。

福島関所の改め

福島関所では、「入鉄炮出女」の取り締まりが厳重に行われていました。「諸国御関所改方之次第」には、その詳細が記されており、東海道の今切関所（荒井）と同等の厳しさであったと伝えられています。

贄川番所

木曽路は山間の脇道が多いため、福島関所を補完する目的で贄川に添番所が設けられました。贄川番所では、「入女」の改めを行い、「出女」については手形の有無を確認していました。ただし、「鉄炮」の改めは行っていませんでした。贄川番所の管理も山村甚兵衛家が行い、関所としての役割は重視されていました。

関所の廃止

慶応3年（1867年）の明治維新により、関所の「入鉄炮出女」の取り締まりは緩和されました。その後、大政奉還に伴い、一時的に関所の警備が強化されましたが、明治2年（1869年）には廃関令により、福島関所を含む全国の関所が廃止されました。

関所の復元と史跡指定

福島関所跡は、寛文8年（1688年）頃の古絵図や2度にわたる発掘調査に基づき、番所や門、塀などの配置が確認され、昭和54年（1979年）に「福島関跡」として国の史跡に指定されました。この史跡は、江戸幕府の交通政策を理解する上で非常に重要な遺構とされています。また、福島関所に関する資料は、福島関所資料館で展示されています。

まとめ

福島関所は、中山道の要衝として、江戸時代の交通管理において重要な役割を果たした関所でした。その厳重な取り締まりや、関連施設の存在は、当時の社会構造や交通政策を理解する上で欠かせない要素です。現在では、史跡として整備され、当時の姿を偲ぶことができます。

参考資料

児玉幸多 『中山道を歩く』 中公文庫、1988年
大島延次郎「木曾福島の関所」『改訂版 関所』、新人物往来社、1995年
渡辺和敏「第三編 近世の交通 四 関所と番所」、『日本交通史』、児玉幸多編、吉川弘文社、1992年
文化庁「国指定文化財等データベース」
木曽観光連盟「木曽広域観光サイト」

関連項目

福島宿 (中山道)
贄川宿
中山道
山村代官屋敷
木曾衆
中部地方の[[史跡一覧]]

外部リンク

木曽町 - 福島関所資料館
さわやか信州旅.net:長野県公式観光Webサイト
長野県の芸術・文化情報センター　公益財団法人 八十二文化財団

* 『福島関所（ブックレット2）』井口利夫・田中博・田澤博、木曽福島町教育委員会、2001年

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