山田・宝馬古墳群

千葉県芝山町に眠る古代の記憶：山田・宝馬古墳群

山田・宝馬古墳群は、千葉県山武郡芝山町、栗山川の支流である高谷川と木戸川に挟まれた台地上に位置します。この古墳群は、山田・宝馬地区に広がり、かつては多数の古墳が存在していましたが、その多くは失われました。しかし、現在も残る古墳からは、当時の社会や文化を知る上で貴重な情報が得られています。

古墳群の構成と規模

かつて、宝馬古墳群には前方後円墳4基と円墳66基、山田・朝倉古墳群には前方後円墳7基と円墳157基が存在したとされます。しかし、1981年の成田国際空港付帯工事に伴う調査では、山田・宝馬古墳群全体で現存する古墳は前方後円墳6基、円墳20基と報告されています。前方後円墳はいずれも墳丘長30-40メートル程度の小規模なものです。

発掘調査で見えてきたもの

これまでの調査で、いくつかの前方後円墳から貴重な発見がありました。

35号墳（宝馬古墳）: 墳丘長30メートル。箱型石棺を有し、鉄鏃が出土しました。墳丘には円筒埴輪に加え、人物埴輪や器財埴輪などの形象埴輪が配置されていました。
65号墳（瓢塚古墳）: 墳丘長35メートル。横穴式石室があり、銅鋺、直刀、金銅耳環、棗玉、ガラス玉などが出土しました。
127号墳: 墳丘長34メートル、後円部径21.6メートル、前方部幅21メートル。幅5-6.5メートルの周堀が確認され、堀の中から多くの人物や動物の形象埴輪、円筒埴輪が発見されました。特に墳丘の東側のくびれ部から前方部にかけて、多くの形象埴輪が立てられていたことが特徴です。
164号墳（にわとり塚古墳）: 墳丘長40メートル。くびれ部に箱型石棺があり、直刀、銀製刀子、鉄鏃、耳環、馬具などが出土しました。墳丘には円筒埴輪に加え、人物、家、動物などの形象埴輪が配置されていました。

これらの埴輪は、当時の房総における埴輪配列の重要な例として注目されています。

円墳の中には、内部施設として箱型石棺を持つものが多く見られます。調査された古墳の多くは6世紀後半のもので、群集墳としての性格が強いことがわかっています。

房総の古墳文化を物語る貴重な遺産

山田・宝馬古墳群は、房総における古墳時代の社会構造や文化、そして埴輪の配列といった要素を知る上で非常に重要な遺跡です。消滅してしまった古墳も多いですが、残された古墳や出土品は、古代の芝山町の姿を今に伝えています。

古墳を巡り、古代の人々の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。

参考文献

『日本古墳大辞典』 東京堂出版、1989年。ISBN 4-490-10260-7
『千葉県の地名（日本歴史地名大系 12）』平凡社、1996年。ISBN 978-4-582-49012-1

関連項目

古墳時代
芝山古墳・はにわ博物館

外部リンク

* 芝山古墳・はにわ博物館 展示紹介 山田・宝馬35号墳

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