山田睦男

山田睦男：ラテンアメリカ都市史研究の先駆者

山田睦男（やまだ むつお、1941年1月31日 - 2011年4月22日）は、日本の歴史学者であり、特にラテンアメリカ史、都市史、そしてラテンアメリカ地域研究において多大な貢献をしました。国立民族学博物館名誉教授および総合研究大学院大学名誉教授として、後進の育成にも尽力しました。

生涯

東京都に生まれた山田睦男は、東京大学教養学部を卒業後、アジア経済研究所で研究員としてキャリアをスタートさせました。フルブライト奨学生としてフロリダ大学大学院に留学し、歴史学修士号を取得。その後、アジア経済研究所で海外派遣員や地域研究部主任調査員を歴任し、1979年に筑波大学歴史人類学系助教授に就任しました。1995年からは南山大学外国語学部イスパニア学科教授、国立民族学博物館地域研究企画交流センター教授、総合研究大学院大学地域文化学科教授を兼任し、2004年に定年退職。退職後も日本学術振興会サン・パウロ事務所連絡研究員やサラマンカ大学文学部特任客員教授として活躍しました。

2011年4月11日、癌により逝去。享年70歳でした。

人物像と研究

山田睦男は、国営企業の重役を父に持つアカデミックな家庭環境で育ちました。その影響からか、完全主義で厳格、真面目な性格であり、語学に堪能でした。ラテンアメリカ研究に没頭する中で、英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、イタリア語など、多数の言語を習得しました。都市観察と研究を重視し、世界60ヶ国以上を訪れ、100近い都市を視察しました。

研究者としては、ラテンアメリカの都市問題、特に都市の発展と社会構造、都市と農村の関係、移民問題など、多岐にわたるテーマに取り組みました。その研究は、ラテンアメリカの歴史と社会に対する深い理解に基づいたものであり、多くの研究者に影響を与えました。FIEALC（ラテンアメリカ・カリブ海研究国際連盟）の国際大会実行委員長を務めるなど、リーダーシップも発揮しました。

研究以外にも、武道（空手道五段、棒杖術四段）、木工、造園、イタリア音楽など、多彩な趣味を持っていました。

受賞歴

筑波大学永年勤続精励表彰 (1990年)
大同国際文化財団地域研究奨励賞 (1995年)
グアテマラ国国立サン・カルロス大学感謝状 (2002年)
FIEALCラテンアメリカ・カリブ海研究国際連盟賞状 (2003年、2005年)
CEISALラテンアメリカ研究ヨーロッパ審議会名誉メダル (2007年)
CELAOラテンアメリカ研究アジア・オセアニア審議会功労盾 (2007年)
正五位瑞宝小綬章 (2011年)

主要著作

『ラテンアメリカの巨大都市―第三世界の現代文明』（共著、二宮書店）
『概説ブラジル史』（編著、有斐閣）
Regionalism and Immigration in the Context of European Integration (共編著)
『発展途上諸国の農村開発』(編著、地域研究企画交流センター)
『世界各国史（25）ラテン・アメリカ史（1）メキシコ・中央アメリカ・カリブ海』(共編著、山川出版社)

山田睦男は、その学術的な功績と国際的な活動を通じて、日本のラテンアメリカ研究の発展に大きく貢献した人物として、永く記憶されるでしょう。

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