山田辰業

山田辰業の生涯と戦歴

山田辰業（やまだ ときなり）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、塩谷氏の家臣として知られています。彼は天文13年（1544年）、下野国塩谷郡の山田城主、山田寛業の子として誕生しました。山田氏は塩谷氏の家老の一族で、有力土豪として地域での影響力を持っていました。

初期の活動

辰業は家族の伝統を受け継ぎ、武将としての道を歩むことになりました。彼の武将としての活動は、特に天正12年（1584年）に始まります。この年の8月初め、彼は主君である塩谷義綱の命令を受けて、那須氏が支配する薄葉・平沢に攻撃を仕掛けました。この戦闘では、辰業の軍勢が青田刈りを行い、その結果、那須氏の記録には「青稲を刈り馬草とす」と記されています。結果的にこの行動は、地元住民に苦しみをもたらしました。

同年の18日には、那須氏の一族である福原資孝と資広の父子が出陣し、辰業は撤退を余儀なくされました。この事件は、その後の両者の間に根深い遺恨を残すこととなりました。

薄葉ヶ原の戦い

翔年の天正13年（1585年）3月8日、那須氏の当主である那須資晴が三百余騎を率いて辰業の所領である北部金沢に攻め込んできました。辰業は、塩谷氏の重臣である岡本氏宗と共に百余騎を率いて対抗しました。最初は弓や鉄砲による攻撃を展開しましたが、最終的には白兵戦に突入しました。辰業は、那須方の先陣である沢村五郎率いる五十余騎を撃退するものの、資晴の本隊に敗北し撤退しました。

この戦闘の結果、那須軍は、辰業の所領周辺の金沢、泉、田野原、伊佐野を焼き払うという深刻な被害をもたらしました。

宇都宮国綱の出撃

那須勢の攻撃に対抗するため、塩谷氏の本家である宇都宮国綱は、二千五百余騎を率いて烏山城を攻める計画を立てました。塩谷義綱の提言に従い、直接烏山城には向かわず、まずは那須領の最前線拠点である沢村城と佐久山城を攻略することを決定しました。

しかし、烏山に後退していた那須資晴は一千余騎を引き連れ、薄葉ヶ原で宇都宮勢と対峙することになります。この戦いでは、辰業が宇都宮勢の先頭として戦いました。3月25日、辰業は岡本氏宗、渋垂修理、玉生大内蔵らと共に、那須勢の本隊に突撃しました。彼は、資晴を討ち取る寸前のところまで迫りましたが、那須の家来である神田次郎に討ち取られ、享年42でこの世を去ります。

晩年とその影響

辰業の死後、那須勢は彼の領地に攻め込み、山田城を落とし周辺の村落を焼き払うこととなりました。この攻撃は、過去の遺恨から生じた復讐であるとされています。辰業の子・親業が山田の地を治め続けましたが、その後、塩谷氏が改易されると、山田一族は四散しました。一部は黒子と名乗り、親業は常陸国笠間に逃れ、その地に根を下ろし子孫を残しました。

このように、山田辰業の人生は武将としての栄光と、家族の運命に影響を及ぼした数々の戦闘の歴史が交錯するものでした。彼の勇敢な戦歴は、戦国時代の複雑な人間関係と地域の動乱を物語っています。

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