山西老陳醋

山西老陳醋（さんせいろうちんさく）

山西老陳醋は、中国山西省清徐県とその周辺地域で作られている、独特な風味を持つ黒酢の一種です。日本では「山西老陳酢」と表記されることが一般的です。

概要

モロコシを主原料とし、オオムギとエンドウを混ぜた「大曲」と呼ばれる麹を大量に使用することが特徴です。一般的な酢の醸造では、麹は発酵を促進するために少量使用されますが、山西老陳醋ではモロコシに対して半分以上の大曲が投入されます。これにより、穀物酢としての特徴が強まります。この製法は、少量の麹で醸造する技術が確立されていなかった時代の伝統的な方法を受け継いでいると考えられています。

醸造の過程では、麦の籾殻と糠、塩、そして香り付けとしてサンショウが加えられ、酢化が行われます。この工程を経て、濃い紫色または黒色を帯びた独特の色合いになります。その後、20～30日ほどで酢化させた後、甕に入れて外気温の下で熟成させます。山西省独特の寒暖差の大きい気候が、風味を豊かにすると言われています。

特に長期間熟成させたものは「老陳醋」と呼ばれ、熟成前の量の4分の1以下にまで濃縮されることもあります。これにより、非常に濃厚な味わいが生まれます。

山西老陳醋は、その品質の高さから「天下第一酢」と称されることもあります。また、3000年以上の歴史を持つとされています。この起源は、『周礼』や『書経』といった古典に酢の存在が示唆されていることに由来しますが、これらの記述が山西省の酢を指しているという直接的な証拠はありません。

多様な雑穀を使用しているため、山西老陳醋は多種のアミノ酸やミネラルを含んでいるとされています。近年の健康志向の高まりから、健康食品としても注目を集めており、熟成によって濃縮された酢は、栄養価が高いと宣伝されています。

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