岐州

岐州（きしゅう）は、中国史に名を残す、かつて存在した州の一つです。南北朝時代から唐代にかけて、現在の陝西省宝鶏市一帯に位置し、その歴史は中国の行政制度の変遷を色濃く反映しています。

魏晋南北朝時代

487年（北魏の太和11年）、北魏によって岐州が設置されました。州の行政庁である州治は、雍城鎮に置かれました。この時、岐州は平秦郡、武都郡、武功郡の3郡と、その下に8つの県を管轄していました。この時代、岐州は地域の政治・経済の中心地としての役割を担っていました。

隋代

隋の時代に入ると、岐州の行政区画は変化します。隋初には、岐州は1つの郡と3つの県を管轄していました。583年（開皇3年）には、隣接する翔州が廃止され、その管轄地域が岐州に統合されました。その後、郡制が廃止されると、岐州に属していた岐山郡も廃止されました。607年（大業3年）には、さらに隴州が廃止され、その管轄地域も岐州に編入されました。しかし、隋代には州が廃止され、郡が置かれる制度改革が行われ、岐州は扶風郡と改称されました。この扶風郡は、その下に9つの県を管轄しました。この時代の岐州、つまり扶風郡の行政区分は以下のようになっています。

唐代

唐代に入ると、618年（武徳元年）に、扶風郡は再び岐州と改められました。しかし、742年（天宝元年）には、再び岐州は扶風郡と改称されました。その後、757年（至徳2載）には、扶風郡は鳳翔府と改称されました。鳳翔府は関内道に属し、天興、扶風、岐山、郿、虢、宝鶏、麟遊、普潤、盩厔の9県を管轄しました。この変遷は、唐代の行政制度の変動と、岐州が担った役割の変化を示しています。鳳翔府は唐代において重要な軍事拠点としての役割も担い、その管轄地域は政治的にも重要な意味を持っていました。


このように、岐州は、その設置から唐代に至るまで、数々の変遷を経てきました。その歴史は、中国の行政制度の変遷を映し出す鏡であり、この地域の歴史を理解する上で欠かせない要素です。

もう一度検索