岡本薫明

岡本薫明(おかもと しげあき)



1961年2月20日生まれ。愛媛県新居浜市出身の日本の元財務官僚であり、第15代財務事務次官を務めた人物です。現在は、日本たばこ産業(JT)の取締役副会長を務めています。

生い立ちと学歴


1979年に愛光高等学校を卒業後、1983年に東京大学法学部第2類(公法コース)を卒業しました。高校時代の同級生には、谷脇康彦総務審議官や安永竜夫三井物産社長がいます。

財務官僚としてのキャリア


1983年に大蔵省(現財務省)に入省し、以降、主計局を中心にキャリアを重ねました。1991年には近藤内閣官房副長官秘書官を務め、1993年には主計局農林水産係主査として、食糧管理法廃止や主要食糧の需給安定に関する法律制定に携わりました。1995年には阪神・淡路大震災への対応にもあたり、その後、文部係、公共事業係の主査も歴任しました。

2004年に財務省主計局調査課長、2006年に主計局主計官に就任。2009年からは大臣官房秘書課長を務め、2012年8月に主計局次長、2015年に大臣官房長に就任しました。この間、中央大学大学院法務研究科客員教授も兼務しています。

2017年には主計局長に昇進。2018年には森友学園問題に関連して文書厳重注意処分を受けましたが、同年、第15代財務事務次官に就任しました。財務事務次官は通常1年で交代となりますが、2019年7月からは異例の2年目に突入しました。在任中は、相次ぐ不祥事を受けて設置された「財務省再生プロジェクト」の本部長も務めました。

2020年7月20日財務事務次官を退任。その後、ドリームインキュベータ顧問、アクセンチュア顧問、日本生命保険特別顧問などを経て、2022年3月には日本たばこ産業(JT)の取締役副会長に就任しました。

人物像


高校時代はソフトボール部、大学時代は準硬式野球部に所属していました。阪神タイガースのファンとしても知られています。

その人柄は「謙虚で威張らず、敵を作らない」と評され、「怒る相手の懐に飛び込んで、ケンカせずに説得して帰ってくる不思議な力がある」とも言われています。予算編成を担当する主計局での経験が長く、金融庁では金融危機対応室長として、2003年に破綻寸前であったりそな銀行への公的資金注入(実質国有化)を担当するなど、数々の修羅場をくぐり抜けてきました。

2018年3月に財務次官の辞任に伴い、後任人事では、森友学園問題における文書管理責任者であったことから、就任には異論もありましたが、最終的には麻生太郎財務大臣(当時)が「改ざん自体には関与していない」と判断し、その手腕を高く評価したことから、岡本が次官に昇格しました。

財務次官就任後は、組織の再建に尽力し、不祥事再発防止のために「財務省再生プロジェクト」を立ち上げました。また、2019年10月の消費税率10%への引き上げや、新紙幣導入の立案などにも携わりました。手堅い手腕は首相官邸からも評価され、通常1年で交代する財務次官を異例の2年務めました。

主な役職


日本たばこ産業(JT)取締役副会長
ドリームインキュベータ顧問
アクセンチュア顧問
日本生命保険特別顧問
読売新聞大阪本社監査役
読売新聞西部本社監査役
読売新聞東京本社監査役

略歴


1983年4月:大蔵省入省(理財局国有財産総括課)
1986年:主計局総務課調査主任
1987年:主計局総務課企画係長
1988年7月:相馬税務署長
1989年7月:国税庁長官官房人事課課長補佐(服務、給与一、二)
1991年6月:大臣官房付兼内閣官房内閣内政審議室
1993年7月:主計局主計官補佐(農林水産第三係主査)
1995年6月:主計局主計官補佐(農林水産第四係主査)
1996年7月:主計局主計官補佐(文部第一、二係主査)
1997年7月:主計局主計官補佐(公共事業総括、第一、二係主査)
1998年6月:大臣官房調査企画課課長補佐
1999年7月:イギリス王立国際問題研究所客員研究員
2001年7月:金融庁総務企画局総務課管理室長
2002年7月:金融庁監督局総務課金融危機対応室長
2004年7月:主計局調査課長
2006年7月:主計局主計官主計局総務課
2009年7月:大臣官房秘書課長
2012年8月:主計局次長(末席)
2013年7月:主計局次長(次席)
2014年7月:主計局次長(筆頭)
2015年7月:大臣官房長
2017年7月:主計局
2018年7月:財務事務次官
2020年7月:退官、財務省顧問
2020年10月1日:富士通フューチャースタディーズ・センター顧問
2020年11月1日:ドリームインキュベータ特別顧問
2020年12月1日:アクセンチュア顧問、フューチャー顧問、日本生命保険特別顧問
2021年1月:新時代戦略研究所アドバイザー
2021年5月:ベクトル特別顧問
2021年6月:よみうりランド監査役
2021年7月:ハウスドゥ経営諮問委員
2021年12月:読売新聞大阪本社監査役読売新聞西部本社監査役
2022年3月:日本たばこ産業取締役副会長
* 2022年6月:読売新聞東京本社監査役

同期入省者


太田充(第16代財務事務次官)、星野次彦(国税庁長官)、武内良樹(財務官)、飯塚厚(関税局長)、氷見野良三(金融庁長官)など、多数の官僚がいます。

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